一般的に、不幸にして交通事故で被害者として受傷すると治療を続けて6ヶ月以上を過ぎるとお医者さんから病状固定ということで後遺障害診断書を書いてもらい後遺障害申請をすることになります。
この時、手続きとして自賠責保険会社に後遺障害申請をしますが、ほとんどの人が手続きに関する知識がないために、加害者側の保険会社に頼み、申請をしてもらうことが多いのではないかと思います。これを事前申請と言いますが、後遺障害の認定のために、そもそも加害者側の保険会社にとって損害額が多くなる手続きを被害者のためにと、最大限の努力をしてもらえるかが疑問です。
まさか、認定の邪魔は、しないと思いますが、申請時に保険会社の専属医師からの意見書を添付されて申請をされている可能性はあるかもしれません。
また、事前申請の場合には、後遺症が認定されますと等級に応じた保険金が保険会社へ支払われます。
例えば後遺障害14級に認定されますと75万円が支払われることになります。この事実を保険会社は、被害者へは絶対に話しませんし、示談交渉の際に自賠責保険から支払われる傷害の保険金120万円と後遺障害認定時に受領した保険金の合計額に近い額で示談交渉を終了させようとしてきます。
これに対抗するには、事前認定ではなく被害者請求で申請をするべきです。これは、自賠責法で認められており、被害者にも申請することができますし、保険会社は、被害者申請をさせないようなことはできません。被害者申請をし、後遺症が認定されれば後遺障害の保険金は、被害者側に支払われることになります。つまり、後遺障害を受けるような事例では、この後遺障害保険金以下での示談は、ありえないことになります。
また、裁判所への提訴をすることになった場合には、後遺障害の保険金があれば、裁判費用にもあてられますし当面の生活費としても活用することができます。このため、後遺障害申請は、被害者申請以外に考えられないのです。(執筆者:上野 吉隆)