下図は、日本の生活者・一般投資家の関心が高い、NY市場の金価格(ドル建て)(ブルー)と、東京での金価格(円建て)(黄色)とCRB指数の2012年6月1日から2013年5月31日の動きです。NYの金価格は、4月にソロス氏などのヘッジファンドが売却した結果暴落しました。その後若干値を戻しましたが、現在は1,400ドルを挟んで、狭い幅で推移しています。
昨年6月の価格レベルに対し、15%ほど落ちたレンジになっています。東京の金先物価格は、昨年11月以降の円安により、価格は高騰していましたが、4月の暴落により、昨年に比べ10%程度の上昇にとどまっています。
CRB指数は昨年は6月初めに比べ8月には20%に届く上昇を果たしましたが、その後は下降トレンドに入り、5%高まで下げています。その一因が貴金属の価格低下でした。
CRB指数の構成要素である、原油価格と農作物の代表であるトウモロコシの価格推移を示したのが下図です。期間は2012年6月1日から本年5月31日ですNYの原油価格は、この一年、10%程度の値上がりをしていますが、10%のピークが3回ありそのレベルでほぼ横ばいです。ドバイ原油の価格は、中国の景気減速や、ヨーロッパの景気低迷を受けて、ほぼ1年前の価格に戻りました。
シカゴのトウモロコシ価格は、昨年8月の干ばつ≒不作予想で、8ドルの高値を付けた後に徐々に値下がりをつづけ、現在では6ドル台に落ちています。それでも、昨年6月に比べ、20%高いレベルです。
資源国の株価、通貨も弱含みになっています。爆食と言われた中国の発展もスピードが落ちBRICsの株価もさえません。ヘッジファンド等の資金が、商品から株式に移動しているようです。このような流れの中、ヘッジファンドとは異なる、我々一般投資家は、あせっくアロケーション方針に基づく、ポートフォリオの構成と期間や変動幅に基づくリバランスに徹することが、資産運用の基本と考え、お勧めします。
なお、著者は商品にかかわる投信やETFはポートフォリオに組み入れていません。価格を予測して売買するのは投機ですから、長期の資産運用のツールとして相応しくないと考えているからです。
ただし、「国破れて山河在り」「高インフレによる経済の混乱」そして「東京ゼロメートル地帯に住んでいますので関東大震災」等、究極リスクへの備えとして、災害時生活費を賄うための現物の金は所有しています。