年金運用の資産配分が見直し。私達への影響は?
皆さんが毎月支払っている公的年金保険料(厚生年金・国民年金・国家、地方公務員年金)は、何処へ行くかというと、「年金積立管理運用独立行政法人」という組織に委託され、年金資産は運用されています。
今現在、株式投資や債権投資などを行っていない方も実は、この組織を通じて将来の年金を資産運用していることになります。
この「年金積立管理運用独立行政法人」が平成25年6月7日に発表した「中期計画の変更」によりますと、運用の資産配分(基本ポートフォリオ)を見直すことになったということです。
年金運用における資産配分は、5年ごとに行われる年金財政検証を基に行われますが、変更前のポートフォリオは、
であったものを、
に、変更するというものです。
国内債券(日本国債等)の比重を減らし、国内株式や外国債券・外国株式への投資を増やしていくものと予想されます。
公表されています平成24年度第3四半期の運用状況は、株式価格の上昇により、3兆5,949円の収益を上げ収益率3.27% 運用資産額は111兆9,296円となりました。
株式資産の増加により、基本ポートフォリオに対し、実際の資産配分は
となっているため、実際のポートフォリオを追認しているかに思われますが、例えば日本株式を11%→12%にすることで約1兆円以上の金額が株式市場に流入します。
つまり、国民全体が年金運用を通じてアベノミクスに協力していくことになります。
現在公的年金の収益率は約3.1%を前提に運用を行っていますが、例えば平成23年の単年度収支をみると、公的年金制度全体(厚生年金・国民年金・国家公務員共済年金・地方公務員共済・私学学校共済)の収入は43兆1,573億円に対し支出は49兆1,168億円となり、5兆9594億円支出超過となっています。
これに、運用益3兆6315億円を加えても、▲28,509億円の収支状況となります。
今後も少子・高齢化が進む中年金受給年齢の変更(65歳→68歳)や給付水準の減少あるいは、運用においてよりリターンの高いポートフォリオへの変更等無理をしていきませんと、年金制度の維持はより困難になると思われます。