前回記事『塩漬け株を「いつ売ろうか?」と思った時にとるべき思考法』では、購入時の「買った理由」にポイントを置きました。購入時の「買った理由」が今でもその銘柄にあるなら保有、すでにその理由がないなら見切り売り、という判断基準になるという話しでした。
今回は、売買タイミングの判断時に参考にしたい、株価チャートの見方をお伝えしましょう。
目次
株価チャートで株価水準を客観視
株価チャートとは、日々の株価の動きをグラフで示したものです。グラフの形はさまざまなものがあります。一般に、ローソク足または陰陽足と呼ばれる、白黒の棒とそれに付随する上下の線で構成されるチャートが親しまれています。初心者の方は、終値をつなげて折れ線グラフにしたチャートでも十分です。
株価チャートを使う目的は、株価の流れを知るため。基本は「今の株価水準が、これまでの流れの中でどの位置にいるかを知る」という程度です。大ざっぱに眺めた株価の流れを「トレンド」と呼びます。
<図1:株価のトレンド>
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図1でわかるように、上昇トレンド中であれば、若干の株価の下げもさほど気にならないと思います。この時に売ろうかと思う投資家は、恐らく利益が十分取れている状況でしょう。過熱感がある場合には、売って利益を確定しておくのも一つの方法です。過熱感の見方は後で説明します。
一方、保有銘柄が下降トレンドであれば、残念ですが、いつになったら株価が回復するかは見通しが立ちません。前回記事に従い、保有する理由がなければ手放して効率的な運用に切り替えた方が賢明です。
トレンドが横ばいの場合、投資家の好みにより、安定しているからずっと持ちっぱなしでいるか、小刻みに売買を繰り返して小金稼ぎを楽しむか、の選択となるでしょう。
トレンドが変わる時
ただし、まれにトレンドが転換するほどの大きな材料が舞い込んでくることがあります。するとそれまでのトレンドが崩れ、新たな値動きのステージが始まります。そうなれば全く別の投資判断を一から行うことになります。その時の株価チャートは<図2>のような形になります。
<図2:トレンドは転換する>
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とはいえ、見込みがなくなった銘柄に対し、当てもなくトレンドが転換するほどの材料を待つのは時間の無駄です。他に十分な投資価値のある銘柄に期待した方が良いでしょう。
このように、株価を数字で見ているだけでなく、今日までの流れを視覚でとらえて判断しやすくするという面で、株価チャートは重要な役割を果たしています。
株価に過熱感がある時、悲観的な時
株式市場では、その銘柄が実力以上に評価され、株価に過熱感が出ることがあります。業績見通しなど実態よりも、投資家の期待で株価が押し上げられてしまうのです。反対に、市場のムードが悪く、株式取引への失望感などから実力通りに評価されず、株価が異常なほどに値下がりする時もあります。その時、株価チャート上では「移動平均線」と呼ばれる、過去の株価の平均値をつないだグラフから、株価が離れる状態が見られます(<図3>参照>)。
<図3:株価と移動平均線の関係>
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株価が正当な評価の状態でない時、いずれ妥当な水準に戻ると思えば、その差を取引に利用できます。「そんなにうまくいくはずがない」と思うかもしれませんが、株価チャートを見れば、実態との差がどの程度かを確認できます。それだけでも、判断材料となるでしょう。
チャートを見ても判断に迷うなら取引はせず見送れば良いですし、チャートを見ることで迷いが晴れるなら思い切ればよいのではないでしょうか。株価チャートを活用してみて下さい。