目次
実は高い日本の信託報酬
銀行や証券会社などにおける投信の販売現場では、分配金の多寡や、運用実績の話しがほとんどを占め、購入する時に一括でかかる手数料や残高に対して毎日自動的に差し引かれる信託報酬に関しての説明は、申し訳程度であるケースがほとんどです。
投資信託は長期保有が基本だと思いますが、長期になればなるほど、残高にかかる信託報酬の高低はとても重要なファクター。
特に、日本の投資信託の信託報酬は割高だ。米国の場合は、平均が0.75%に対して、日本では1.36%。米国は10年前に比べ2割下がっているのに対して、日本では2割上昇している。
世界最大級の運用会社であるアメリカのバンガード社に至っては、総経費比率の平均が0.2%で10年前に比べ、3割も下がっているのです。
手数料の高低で、資産残高に大きな差が出る
例えば、100万円で投信信託を購入し、10年間の平均利回り5%だとすると、バンガード社の平均0.2%で計算すると、10年後に1,598,132円、日本の投信の平均1.36%で計算すると、10年後に1,429,795円。差額が、168,337円にもなります。
※上記の数字は、為替の変動や為替手数料、税金等は考慮していません。
利益や純資産残高の増加による総経費率の減額は?
米国のバンガード社では、利益が上昇し純資産残高が増えれば、総経費比率が下がるしくみを取っています。
日本の投信の場合、純資産残高上位の多くは、販売会社が売れば売るほど、運用管理費用に占めるその販売会社への配分比率を高める特殊な構造を持ちます。
例えば、その販売会社での残高が少なければ配分比率は3割程度なのに、総資産残高が増えると、販売比率が8割弱に上がるようなしくみになっています。結果、投資家が支払う信託報酬額は減りません。
売れれば投資家に還元する米国と、販売会社に還元する日本との違いは大きいと言わざるを得ません。
NISAで日本の投資環境は変わるのか?
市場全体からすると少数派ですが、日本でも信託報酬が低い投資信託が登場してきています。
(2)三菱UFJ投信のeMAXISシリーズ
(3)みずほ銀行のi-mizuhoインデックスシリーズ
来年から始まる日本版ISA(=NISA)から投資を始められる方もおられると思いますが、投信を視野にいれるのであれば、運用管理費用(信託報酬)にこそ、注目していただきたいと思います。