10月1日に安倍首相が来年4月からの消費税を8%に引き上げることを正式に表明しました。消費増税の名目は、安定した社会保障費の確保が目的です。その本丸である年金改革をまとめました。
(1)年金受給資格期間を25年から10年に短縮
(2)平成26年度に基礎年金国庫負担を2分の1に恒久化
(3)短時間労働者(パートタイマー)に対する厚生年金・健康保険の適用拡大
(4)厚生年金・健康保険等の産休期間中の保険料免除
(5)遺族基礎年金の父子家庭への支給≪厚生労働省HPより≫
その他にも公務員・私立学校職員の共済年金の一元化に、3階部分の職域加算の廃止などが決定しています。
(1)は世界的に見ても、受給資格期間25年は長すぎるとかねてから批判がありました。
(3)は、労働者にとって、保険料の負担は増えても、将来的に年金として返ってくるという論理です。
しかし、厚生年金にしても健康保険にしても、労使折半であるため、企業側にとっても大きな負担になります。結果的に雇用の縮小に舵を切らざるを得なくなりません。消費増税によるさらなる値下げ競争、デフレ進行と共に雇用縮小への追い打ちになるリスクもはらみます。
(5)は、日本の年金制度が長らく、男性が外で働き、女性が家庭を守るという専業主婦家庭だけを前提にした制度であるということを変えるきっかけになる改革でありますが、今更感があります。
(1)は、消費税が10%に上げられて、初めて導入されるといういわば“人質”状態です。
毎年社会保障費が1兆円ずつ伸びていることが財政を圧迫しているということや、消費増税による景気の冷え込みによる税収減などの負の部分が語られずにとりあえず消費増税だけを決めてしまった感が否めません。
低所得者に対する1万円の給付金や公共事業への投資などの約6兆円とも言われる景気対策や法人税減税などの対策が今のところ有効な手段とはいいがたい現状です。
これから受給開始年齢の引き上げなどの話も俎上に上がることは間違いなく、安心な老後のためのはずの社会保障一体改革がかえって、不安を増幅させているような気がします。