厚生年金、共済年金、基礎年金を問わず、また年金額の多少にかかわらず、公的年金受給者の年金額は、物価スライド特例に伴う上乗せ支給分2.5%の是正(正常化=引下げ)の第1弾として平成25年12月受給分から1%分引き下げられます。
国家公務員・地方公務員については、これとは別に10月受給分から年金額が引き下げられる方がいます。引き下げの対象となる方は、共済組合の施行前の恩給期間の時から公務員として勤めていた人です。
国家公務員の場合は昭和34年10月より前の期間、地方公務員の場合は昭和37年12月より前の期間が恩給期間です。対象となる方の年齢は概ね70歳以上の方です。
恩給期間の保険料は、事業主負担が4.4%で、本人負担は2%でした。共済年金発足時の保険料負担は事業主負担が4.4%で本人負担も4.4%でした(計8.8%)。
恩給期間に係る給付も、共済年金として支給されることになりましたので、恩給期間の保険料のうち、本人が負担していなかった部分(4.4%-2%=2.4%)がかねてから問題視されていました。被用者年金一元化法によりこの部分の減額が決定したわけです。
実務的な取り扱いは次のとおりです。
目次
年金額改定の対象者
年金額の計算の基礎になっている共済組合員期間に恩給期間がある人のうち、基礎年金と共済年金(国家公務員・地方公務員)を合わせた額が230万円を超えている人。
改定後の年金額
次の(1)~(3)の方法により計算した結果のうち、最も多い額が改定後の年金額となります。
(2)現在の年金額から全体の年金額10%を控除した額
(3)230万円
計算例
恩給期間があり、退職共済年金と老齢基礎年金を受給している方の場合
老齢基礎年金 60万円
・退職共済年金の額の計算の基礎となっている組合員期間
35年(420月)
・そのうちの恩給期間
7年( 84月)
・年金額のうち恩給期間に係る部分
(210万円+60万円)×84月/420月=54万円
退職共済年金210万円+老齢基礎年金60万円=270万円となり、230万円を上回っていますので年金額改定の対象になります。
◎上記(1)による計算額
270万円(210万円+60万円)-54万円×27%≒255万円
◎上記(2)による計算額
270万円(210万円+60万円)-270万円×10%=243万円
◎上記(3)の額 230万円
この計算例の場合、(1)~(3)により計算した額を比較しますと、(1)により計算した額が最も多い額になりますので、改定後の年金額は、退職共済年金は約195万円(210万円-約15万円)、老齢基礎年金は60万円、合計255万円となります。