2014年3月31日までに住宅の引き渡しが完了すると、住宅に関する消費税率が5%となります。そのため「いつかは住宅購入を」という考えから「消費税率が上がる前に住宅購入を」へ、考えを変える方が増えています。住宅購入時には多くの方が住宅ローンを利用されます。
しかし、住宅ローンの利用に関しては、「年収○○万円に対して、住宅ローン○○万円は無謀でしょうか?」などと返済に不安を持ち、ご質問される方もいらっしゃいます。
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借りられる金額
住宅ローンは、フラット35を例とすると、年収に占める年間合計返済額の割合が、年収400万円未満の場合は年収の30%未満、年収400万円以上の場合は年収の35%未満となっています。
これを具体的に計算すると、年収が300万円であれば年間返済額90万円(月額7.5万円)まで、年収が500万円であれば175万円(月額14.5万円)までとなります。
これを借りられる金額に変換します。住宅ローン金利を2%、元利均等方式で返済期間を35年と仮定すると、年収300万円で約2,200万円、年収500万円で約4,300万円までと計算できます。しかし、これは貸す側の金融機関からみた金額です。
返済できるかシュミレーション
では、この額を実際に返済できるか考えてみましょう。
年齢35歳、年収500万円で専業主婦の妻と小学生の子ども2人を扶養しているとします。4,300万円を借り、毎月14.5万円の住宅ローンの返済を行いながらの生活を考えてみます。
概算となりますが、ボーナスを除く手取り月収(可処分所得)は約28万円、保険や固定資産税などの経費を除き約25万円が自由に使えるお金に近い金額と算出できます。ここから住宅ローン14.5万円を引くと、残りは約10万円。
残りの10万円から、家族4人の食事や光熱費などの基本生活費を引いたとき、趣味に使うお小遣いや将来に向けた貯蓄がなくなる場合には、この住宅ローンは無謀であると判断します。
しかし、毎月の生活費が非常に少なく、住宅ローンを支払っても、年収の1~2割(50万~100万円程度)の貯蓄が可能である場合は、無謀であるとは判断しません。
適切な住宅ローン額は収入だけでは判断できない
以上のことから、住宅ローンが無謀かどうかは、年収だけでは判断できないことがわかります。よって、ファイナンシャルプランナーは、収入だけでなく、それぞれの支出状況や家族の状況を加味して、その家庭ごとの適切な住宅ローン額を計算いたします。
参考ですが、一般的に住宅ローン返済額が世帯年収の2割以下とすると、無理のない返済となることが多くなります。すべての方に当てはまるわけではありませんが、世帯年収500万であれば、年間の返済額は100万円以下、つまり、住宅ローン額2,500万円以下(金利2%、35年返済の場合)が一般的に無理のない返済となるようです。(執筆者:杉浦 詔子)