住宅を買うための資金なら非課税になる制度
消費税8%への引き上げが決まり、高額な商品ほど増税の影響を感じることになりますね。特に、住宅については気になる方が多いでしょう。しかし、消費税のように負担の増える税制がある一方で、場合によっては住宅ローンのコストを減らすことのできる制度があることを存知でしょうか。
「住宅取得等資金の贈与税の非課税」という制度で、簡単に言えば「父母や祖父母から、住宅を買うための資金としてお金をもらった場合、要件を満たせば一定額まで贈与税を非課税にします」というものです。
通常、贈与を受けると年間で110万円を超えた部分に贈与税がかかります。しかし、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」を利用できれば、省エネ住宅以外の一般住宅であれば、平成25年は700万円(基礎控除110万円を含めれば810万円)まで、平成26年は500万円(同610万円)まで贈与税はかかりません(※)。
もしも、両親から資金援助(贈与)の申し出がある人であれば、それはぜひ受けるべきだと思います。その理由は、贈与を受けた金額以上のメリットが発生するからです。
利息総額を減らすためには自己資金を多くしよう
住宅を購入する方なら、ほとんどの方は住宅ローンを利用すると思います。住宅ローンのコストは主に「金利」「保証料」「団信(不要の場合もあり)」などがありますが、この中で最も大きいコストは「金利」です。金利の違いで、利息総額は大きく変わってきます。
例えば、3000万円を金利2%、35年返済で借りると、利息総額は約1174万円になりますが、同じ金額を金利1%、35年返済で借りると、利息総額は約557万円になります。利息を減らすには、借りる金額を減らす(=自己資金を増やす)か、なるべく低い金利で借りることですが、金利は自分だけでは決められません。
しかし、前述の住宅資金贈与を利用して自己資金を増やすことができれば、利息の総額も減らすことができます。
仮に800万円の贈与が受けて自己資金に充当すれば、前述の例でみると借入額は2200万円まで減ります。2200万円を金利2%、35年返済で借りると利息総額は約861万円になり、3000万円借りた時の利息で比べると、約313万円の利息が軽減できるのです。
つまり、800万円の贈与は、利息の軽減分を含めれば、実質的に約1113万円の贈与効果とみなすこともできますね。
「住宅取得等資金の贈与税の非課税」を利用すれば、贈与を受けた側だけでなく、贈与した父母や祖父母にとっても、生前贈与で相続財産を減らすことができるというメリットがあります。
住宅購入時には消費税増税の方に目が向きがちですが、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度を活用することができれば、増税による負担増以上の効果を生み出せるかもしれません。
※省エネ住宅は平成25年1310万円、26年は1110万円(基礎控除含む)
(執筆者:高橋 浩史)