目次
1.日本におけるがんの実態
日本人男性の2人に1人、女性の3人1人が、がんに罹患すると言われています。がんは、DNAについたキズが原因の「不死細胞」を免疫が殺せなかったことで生まれます。その生まれたがん細胞が増殖し、検査で見つかるまでに10年~30年。ですから、がんは「老化の一種」とも言えるわけです。
しかし、若いからといってがんに罹患しないわけではありません。日本では毎年約70万人が新たにがんに罹患していますが、その30%の約22万人が現役世代である20~64歳。
また、がんによる年間死亡者数約36万人のうち、7万人が現役世代。会社員の死の約半分はがんが原因によるもの。働く世代のがんが増えている一因として、女性のがんの増加があります。実は、働き盛りの世代では、男性よりも圧倒的に女性のがんが多い。20代では、男性の約1.6倍、30代では男性の約3倍。
これは女性特有のがんである子宮頸がんのピークが30代後半。乳がんのピークが40代後半にあるためです。
2.がんは治る病気になってきています
「がんは不治の病」と言われたいた時代があり、がんは患者本人に告知されないことがスタンダードでしたが、今は一部の例外を除き、ほとんど告知されるようになってきています。なぜなら、早期のがんであれば9割以上が完治。がん全体で考えても約6割が治る病気だからです。
3.がん治療の実態
一昔前のがん治療は長期入院で闘病生活というイメージですが、現状はがんでの入院日数は他の疾患の平均と大差がありません。一般病床での平均入院日数が17.9日に対し、がんでの平均入院日数は、19.5日(いずれもH23年の厚生労働省の患者調査による)。ちなみに、10年前のがんでの平均入院日数は29日。
日本では、「手術」はがん治療の代名詞でした。かつては、がんと言えば、「胃がん」だったことが背景にあります。胃は、全摘できる数少ない内臓で、手術向きの臓器という理由もあります。
しかし、現在、胃がんは減りつつあり、増加傾向にある欧米型のがん(肺がん、乳がん、前立腺がん、子宮体がん等)には放射線治療や化学療法(抗がん剤)も有効とされています。これら放射線治療や化学療法(抗がん剤)は、従来のように手術で治すのではないため、外来や通院で治療を行う割合が増えてきています。
また、胃がんや肺がん、大腸がんでは、開腹、開胸手術ではなく、内視鏡手術も普及してきています。これらの手術は日帰り手術もめずらしくはありません。乳がんであれば、手術後の放射線治療を行うことで、切除部分をできるだけ小さくする「乳房温存療法」が普及。
4.あなたのがん保険は今のがん治療にあっている?
がん治療が日進月歩で変化している状況で、一昔前のがん保険が対応できるかと言えば、かなり疑問符が残ります。
従来のがん保険は、
がんで5日以上入院後の通院で日額〇千円
悪性がんによる診断一時金〇〇〇万円
がんによる自宅療養〇〇万円
がん死亡〇〇〇万円
という内容が一般的。
日帰り手術や通院のみの治療、悪性ではない初期がんでの一時金、先進医療になる放射線治療などは給付対象とはなっていないのです。せっかく毎月払っているがん保険なのに、いざ「がん」になっても、「支払対象ではありません」ということになりかねません。
昔に加入していたがん保険、もう一度しっかりと確認を・・・(執筆者:釜口 博)