お金を増やす行為となると投資ということが真っ先に浮かんできますが、何も投資をすることだけに必死になることもないのです。投資効果という括りで考えてみれば、増やすだけが投資ではなく、同じお金の使い方であっても実際の投資よりも大きな効果が期待できることがあります。
FP(ファイナンシャルプランナー)業務をやっていると常にお金と向き合うことになりますが、最終的な判断はお客様が選ぶのであって私が提供できるのは、お客様にとって有利であろうプランの提供となります。ですから、どちらを何を選択しようとも自由なのですが、投資思考を持ちあわせれば、少なくとも損をすることが少なくなるでしょう。
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投資思考の大切さ 例題で解説
考えればすぐに分かる話なのですが、慣れていないと不利な方を選んでしまうという案件に先日も遭遇しましたので、似たような事例を挙げてお知らせしておきたいと思います。例題として次のようなシチュエーションを挙げておきます。
あなたは手持ちの300万円の現金を自動車に使いますか? それともマンションの頭金として使いますか?
今回の例題は、月の支払金額や手数料・税金または保険などの面倒なことは抜きにして考えたいと思います。今回のお話しに月の支払金額や手数料・税金や保険などの面倒な話しは関係がありませんので。それらの話は次のステップであるキャッシュ・フローの話しになってきます。
さて、あなたならばどちらを選択しますか? 自動車を現金で買いますか? それともマンションの頭金にしますか? 問題にするくらいだから、ひねってあるのだろうとか、落とし穴がどこにあるんだと言うような穿った見方はやめて下さい。最初に述べたように投資効果としてどのように考えるかの問題ですので。
自動車に使う場合
では、それぞれを考えてみたいと思います。自動車を現金で購入すればカーローンを組む必要がありませんから5%の金利が掛ることはありません。しかし、カーローンを組むと5%の金利が掛かりますので総額3,396,822円となります。金利が396,822円となります。
マンションの頭金に使う場合
一方、住宅ローン2500万円を2%の金利で35年ローンを組むと返済総額34,782,404円となります。では、カーローンを組んで2200万円の住宅ローンをやはり金利2%の35年ローンで組むと返済総額は30,608,538円になります。
もうお分かりですよね! 自動車を現金で買うのとローンを組んだ時の差額は396,822円ですが、住宅ローンを2500万円で組む場合と2200万円で組む場合では4,173,866円の差額となるのです。同じ300万円を使っても396,822円と4,173,866円の差が生まれるのです。投資効果として考えたときに、あなたはどちらを選択しますか?
計算をここで終了させてはいけません。ここで計算を終了させてしまうと、ドツボに嵌ることがあります。上記の計算式はあっていますが、比べるものが間違っています。ここからすべてを整理をしておく必要があります。
現金で自動車を買い住宅ローン2500万円を組んだときに支払う金利総額は0円+9,782,404円=9,782,404円となります。一方、自動車ローンを組み、住宅ローン2200万円を組んだときには、396,822円+8,608,538=9,005,360円となります。よって差額は9,782,404円-9,005,360円=777,044円となります。
今回の場合は住宅ローンに300万円を投入した方が支払総額が777,044円有利だという結果が出ました。
表面上の金利や数字に惑わされない事が大事
実際の現場では、この差額だけで語り切ることは出来ません。今回の例題では、スタートラインが一緒でたまたまこうなったということであり、ましてやローンを2箇所に支払うだけのキャッシュフローがあるのか? ということが問題になります。35年掛けて777,044円有利にすることは得といえば得ではありますが、年間約22,201円ということになり、月額では約1480円となります。
しかし、表面上の金利や数字だけで有利・不利を考えてしまう単純思考ではババを掴むことが多くなってしまいます。投資思考をもって少し考えれば大きな投資効果を生むことが多々ありますので、是非、無駄な損をしないためにも投資を考える思考を持って頂ければと思います。(執筆者:中村 毅)