特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢が昭和28年4月2日以降生まれの男性の場合60歳でなくなったことで、今、年金事務所に老齢年金の請求に来られるのは9割が女性です。
この昭和28年生まれの年代の女性は学校を卒業して数年間お勤めをして、そのあと専業主婦になったという方が圧倒的に多く、60歳から年金が受給できるといってもその数年間のお勤めの期間の報酬比例部分なので、大きな金額にはなりません。
この方たちは64歳から定額部分が発生し、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建てでの受給になります。60歳で請求にいらした方に対して64歳時、65歳時の見込額も計算しますが、その65歳時の見込額が人によってずいぶん違いが出てきます。国民年金の加入の歴史が昭和61年4月の第3号制度ができたときから始まっている方とその前に任意加入していた期間がある方との違いです。
第3号の制度が始まった昭和61年は昭和28年生まれの方が33歳のときですが、当時20代前半で結婚される方が多かったので、それまでに専業主婦の期間が約10年あったことになります。第3号の制度ができるまでサラリーマンの妻の専業主婦の国民年金への加入は任意でした。
私自身同じような年代ですが、当時年金の知識など全くありませんでした。昭和52年か53年ごろ専業主婦を任意加入させようというキャンペーンがあったのでしょう。子どもを連れた公園での母親同士のおしゃべりの話題になっていたことを記憶しています。
当時の保険料は1月3000円程度でしたが、私は3,000円をそちらに回す余裕がなく任意加入はしませんでした。あのころ8年ぐらい任意加入していればと今つくづく思います。
当時先見の明をお持ちで任意加入をきちんとされていた方は65歳から受け取る老齢基礎年金が満額かそれに近いものになるわけです。
老齢基礎年金の見込額が少なくてがっかりされた方は65歳までの間に満額になるまで任意加入をすることが可能です。現在15,040円の保険料を1月納付することで満額の老齢基礎年金778,500円の480分の1の約1,622円増やすことができます。400円の付加年金を納付することでさらに増額することができます。
ただし、付加年金を考慮しない場合15,040円で1,622円増額になるのですから9年3か月、つまり74歳3か月まで生きないと元が取れません。
ある60歳から任意加入を始めた女性ががんになって任意加入をやめました。あと2月納めてあれば納付済期間が36月になって遺族に死亡一時金が支払われたのですが足りませんでした。手続にいらしたご主人が「助からないことがわかっていたんだな~」としんみり話されたのが印象的でした。(執筆者:国民年金)