今年で先の戦争が終わって69年が経とうとしています。その間日本人のライフスタイルは大きく変わりました。一次産業中心から二次、三次産業への転換、「金の卵」と言われて上京した集団就職、大家族から核家族へ、そして日本は高度経済成長を成し遂げました。その高度経済成長を牽引してくれた、「団塊の世代」が人生の終わりを迎えようとしています。
かつてのムラ社会では、親戚やご近所が看取り、お葬式、お墓、相続など(戦前は長子相続)が、ムラごとの決まりどおり行われてきました。しかし現代(特に大都市圏)は違います。今までは他の誰かがやってくれたことを自分で準備しなければいけない時代になっています。
今年60歳以上の男女に取ったアンケート(有効回答:3494件)によると(ライフメディアのリサーチバンク調べ)、60歳以上の男女に対し、「終活」という言葉を知っているか尋ねたところ、41%が「知っていた」と回答しました。
また60歳以上の男女に対し、「終活」が必要だと思うか尋ねたところ、男性は44%が「わからない」とし、女性は50%が「必要」と回答しており、女性の方が意識は高いですが、ふたりにひとりは「終活は必要ない」と考えているということです。まだ意識は低いようです。
子供のころに見た、野辺送りの原風景は都会暮らしのあなたのお葬式には、残念ながら訪れないのです。あなた自身が考え、作らなければならないということです。何から手をつけたらいいのか分からないという方は、まずは市販の穴埋め式のエンディングノートから始めてみることをお薦めします。書き進めるうちに「自分が決めなければいけないこと」が具体的に固まってきます。
次に遺言書の作成。あなたの財産が原因で、家族同士を争わせるようなことは、あってはならないことです。これもまず市販の遺言書作成キットから始めてください。具体的になったら専門家と相談して、完成させましょう。せっかく書いた遺言書も、書式が不備だと無効となります。
そして、医療、介護、老後資金の問題…。考えることは多いですが、説明したとおり、連綿と続いてきた「マニュアル」が通用しない構造に日本が変化してしまったのです。
逆に言えば、かつてのようなムラ社会のしがらみや風習にとらわれずに、あなたが決めた、あなたらしい「人生のしめくくり」をデザインできると新しい時代の幕開けということです。また、「終活」について書いていきます。みなさんを心から応援しています。(執筆者:中森 学)