2015年(平成27年)1月に相続税が改正されることにより、相続税の増税が予定されています。現状では、相続を迎えた家庭の約4%が相続税を納税しているにすぎませんが、来年からの増税をうけて、全国平均では約6%の家庭で相続税が課税される見込みです。
6%という数字はあくまでも全国平均であり、首都圏23区内中でも千代田区や中央区、港区などであれば、20%台およそ4人に1人が課税されるとの試算もあるようです。
相続税改正後は、もはや一部のお金持ちの問題ではなく、首都圏(都心)のサラリーマンにも十分相続税負担のリスクがあることを自覚していただきたいと思います。
今回は、改正点の詳細については触れていきませんが、相続後にその相続した財産を売却等した場合における、その相続財産の取得価額について解説してみたいと思います。今回は、相続した土地の取得価額について。
相続によって取得した土地の取得価額
自己所有の土地を売却したときの譲渡所得の計算については、当該土地を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。原則として取得費は土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額になります。
しかし、相続により取得した土地に関しては、被相続人の取得価額と取得時期を引き継ぎます。ようするに被相続人が当該土地を買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算します。取得の時期も引き継ぐことになります。
数十年前に購入した土地などの場合、物価の違いから相当低い取得価額も予想されることから、多額の譲渡所得税の負担を強いられることもあり得ますので、十分な注意が必要です。
相続後一定の期間内に、その相続した土地を売却する場合、相続税額の取得費加算の特例がありますので、若干おまけをしてくれる感じはありますが、この特例もその相続で相続税を負担していなければ特例をうけることはできません。
先祖代々の土地などで、購入価額等(取得費)が分からない場合には、取得費を譲渡金額の5%相当額とすることができます。
ただし、この場合には相続人などが支払った登記費用などを取得費に含めることはできません。反対に考えると、売却収入の95%が譲渡所得金額の基礎となってしまいますので、納税負担が非常に重くなるという危険性があります。
取得価額の承継については、基本的には株式についても同様です。次回、株式の取得価額の承継等について書いてみたいと思います。取得価額及び取得時期の承継については相続だけではなく、贈与による取得についても同様の取り扱いになりますのでご注意ください。(執筆者:内宮 慶之)