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どうなる? 日本の物価上昇率
安倍政権に政権交代して1年3か月が過ぎました。安倍首相が目標に挙げている物価上昇率2%ですが、昨年度末の平均の物価上昇率は0.36%でしたが、年度末月の物価上昇率を見ると前年比1.44%となりました。
それまで失われた20年と言われる日本ですが、1997年に年平均の物価上昇率1.76%となりましたが、殆どの年で1%以下若しくはマイナスの物価上昇率でした。先進国の健全な物価上昇は1%~2%と言われますが、日本が健全ではないという事が言えます。
今年、4月より消費税が8%に上がり、再び消費が冷え込むのではと言われる方もおられますが、そうなると昨年やっと上がりかけてきた物価上昇率も下がって行く可能性があります。
しかし、安倍政権も今後も景気拡幅に向けた政策を打ち出す構えは変わっておらず、日銀も2%に達するまでは金融緩和を継続する姿勢を代えていません。今年の物価上昇率はまだ未知数ですが、4月末では2.8%と2%を超える物価上昇率の数字が出ています。
「実質価値」について考える
ここで考えなくてはいけないのは、タイトルにしましたが、「額面と実質価値」についてです。FP業務の中で、教育資金や貯蓄についてアドバイスを行う事は多いのですが、貯金が大好きな国民と言われるほど、多くの方は預貯金をされている方が多くおられます。
現在の金利は0.02%前後と100万円を預けても1年間で200円しか利息が付きません。その利息から20%と復興特別所得税税が引かれたもの受取利息となりますので、80円弱となってしまいます。それでも額面価格は減らないので良いと思われておられる方が非常に多いです。
では物価上昇率が2%とまで言わずも1%の上昇をした場合には、仮に100万円のものが1年後には101万円になる事になり、貯蓄をしていた100万円では買いたいものが買えず、更にお金を出さなくてはいけなくなります。
逆に実質価格で考えると1%の物価上昇率の時の100万円の1年後の実質価格は99万99円となります。1%の物価上昇率が安定的に継続できた場合の10年後の実質価格は90万5,287円となり、10万円弱の損失となっている事になります。
物価上昇を考えた運用
教育費を学資保険で準備される方も多いですが、本来であれば払った以上に戻って来ることが前提の学資保険で、実質でもマイナスにならない様に考えるのであれば最低でも物価上昇率以上の利回りでなければなりません。
消費税が上がり支出が増えた上に物価上昇分を補わなければいけなければ、家計はどんどんと圧迫されてしまいます。お子様の教育費や老後の年金の準備などは特に物価上昇率を考えた上で運用する必要があります。(執筆者:吉野 裕一)