『終活』について、これまで何回か書かせていただきましたが、その集大成はやはり『遺言書』です。介護やお墓や葬儀の問題と違い、モロに「お金」が絡んでくる問題です。あなたの財産で仲の良かった家族同士が争うようになったら、それはあなたの責任です。
また配偶者や子供も、なかなか言いづらいテーマですが、ムリなく遺言書を書いてもらうことが、ご自身の相続トラブルを防止する一番の手立てとなります。
貯蓄現在高についても、世帯主が65歳以上の世帯は2, 257万円、全世帯平均1,664万円の1.4倍にもなっています。4,000万円以上の貯蓄を有する世帯も16.1%もおり、全世帯(10.2%)に比べて、きわめて高い水準となっています、決して「私はいらない」とは言えない金額です。(出典:内閣府 平成25年版 高齢社会白書)
そこで相続トラブルになりやすい3つの事例を、あなたはご主人太郎さんを亡くした花子さんとして、見ていきましょう。
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危険度100% 先妻と後妻にそれぞれ子供がいる
離婚、再婚の後、それぞれ子供がいるケースは珍しくなくなりました。先妻の子、再婚後の子、相続に全く差はありません。それ以上に問題なるのは、昨年婚外子(結婚しないで産まれた子供)も従来の2分の1から、結婚して産まれた子供と同じ割合になりました。
子供に罪はないのですから、同じ割合になるのは当然なのですが、それと相続トラブルは別の話。突然現れた(当然、そういう子がいることを太郎さんは言いませんよね。)子供と長年家族として育った子供とが同じとは花子さんはどうしても納得できません。
危険度90% 夫婦の間に子供がいない
花子さんは4分の3、残りは義理の兄弟が4分の1を相続します。義理の兄弟と財産のことで話すのも気づまりですよね。しかも兄弟が5人いれば、5人全員が納得しなければ、太郎さんの口座からお金も降ろせません。その場合、遺言書があれば花子さんに全財産を相続させることは可能です。
危険度80% 自営業者である(農業を含む)
中小企業の場合、「自分のお金」と「会社のお金」の区別があいまいな場合もあります。会社関係で相続トラブルが起こると、肉親だけでなく従業員、その家族まで影響を及ぼします。
これらの例以外にも残念ながら、相続トラブルの『芽』は無数にあります。トラブル防止には、まず「遺言書」です。みなさんを応援しています。(執筆者:)