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解説
財産分与として不動産を相手側に渡す場合、贈与税、不動産取得税、譲渡取得税、登録免許税について検討する必要があります。
1. 贈与税
離婚にともなう財産分与については、原則として贈与税は課税されません。ただし、財産分与の額が多すぎる場合や税逃れだと認められる場合は受け取る側で、課税されます。
※ちなみに、離婚の際に支払われる慰謝料や養育費については、支払う側・受け取る側ともに、課税されません。
2. 不動産取得税
原則的には、不動産を財産分与した場合、受け取る側で課税されます。この場合の適用税率は下記の通りです。
(1) 家屋の場合・・・居住用の場合は評価額の3%、居住用以外の場合は評価額の3.5%
(2) 土地の場合・・・評価額を2分の1にして、その額の3%
なお、婚姻後に取得した不動産を財産分与した場合は2分の1に軽減されます。
※ただし、夫婦の財産関係の清算という趣旨から、実際には課税しないという取り扱いがなされています。しかし、慰謝料として不動産を受け取った場合は課税されます。
3. 譲渡所得税
財産分与のときの不動産の時価が不動産取得時の時価よりも値上がりしていれば、不動産を渡す側に対して、その差額である譲渡益について、譲渡所得税が課税されます。
4. 登録免許税
財産を受け取った側に、固定資産税評価額の2%が課税されます。
要するに…
離婚の際の財産分与の場合は、実際には贈与税と不動産取得税は課税されず、登録免許税のみ課税されます。ただし、不動産取得税については、財産の清算ではなく慰謝料などと認められると課税されてしまいますので、気を付けましょう。(執筆者:小嶋 大志)