「借入れの審査が通らなかった方へ」、「審査に不安がある方へ」といった広告が気になって仕方がありません。メールマガジンの号外版や、WEBサイトで何度も目にします。一言、ご忠告申し上げます。
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借入れ審査に通る業者を探すことよりも大事なこと
これらのカードローンなどのサイトでは、次のような流れで話が展開されています。
2.それでも、他を探せば借入れができるローン会社はあります
3.審査基準の緩い業者から借りればいいのです
審査基準の緩い業者とは、銀行やクレジットカード会社ではなく、カードローンや消費者金融会社です。無担保・無保証でも借りられる、収入証明書が不要、最短即日審査可能など、簡単に借りられることが前面に打ち出されています。
しかし、広告に誘導されるがまま、「この条件なら借りられる」と飛びつくのは危険です。最初の金融機関ではなぜ審査が通らなかったのかを、落ち着いて考えましょう。
そうです。貸し手から見て、「返済できなさそうな人」と判断されたからです。返済できなさそうな人は、別の貸し手のところに行ったからといって、急に「返済できる人」に変わるわけではありません。「返済できる生活に切り替えなければ、借りられない」ということを自覚しなければなりません。
貸してくれるところを探して借りるのではなく、「返済できる人」になることが先決です。
審査に通るローンなら、金利は高いのが通常
また、審査基準の緩い業者またはローン契約で借りる場合、基準が厳しいローンに比べて、金利が高いはずです。貸したお金のうち返済されない可能性が高い契約を見越して、ビジネスが成り立つように金利設定をしているのですから。
最初の金融機関の審査で借りられなかった人が次の業者で借りられたとしても、高い金利のローンを返済するのが困難なのは、目に見えています。最初の審査で「借りられない人」は「返せない人」なのです。
楽に返済できると言われても
さらに、カードローンの一部では、返済についてもハードルが低いものがあります。例えば、「返済のペースを自分で決められる」というもの。通常の借入は、毎月決まった日に銀行から引き落とされる形で返済していきますが、一部のカードローンでは、自分の都合に応じて返済して行けばよい、というものがあります。
これは一見、「返済が楽」と思われがちですが、返済のペースがゆっくりだと、なかなか元本が減らないのはもちろん、金利もかさみます。そもそも返せない人なのに、いつまでも返せず、総返済額が膨れ上がり、苦しくなるのは目に見えています。
そもそも、借入をしなければ目的のものを買えない(=資金計画が甘い)人が、計画通り返済できるでしょうか。他の支出を抑えて、返済にお金を回せるでしょうか。家計管理は、自分の心や欲望との闘いです。
「借りられない人は、返せない人」という自覚を持ち、まずは借入せずに生活できるペースを取り戻すことが大切です。(執筆者:石原 敬子)