人のお金の使い方の傾向として、『現在の利益』と『将来の利益』の二つの利益があることを何回かに分けてお伝えしています。(参考記事:節約や投資を始める前に知っておきたい「お金の使い方4つのタイプ」)
今回はこの中でも『我慢型』と呼ばれるタイプについて考えてみましょう。
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目次
我慢型の消費傾向
この消費タイプの人の特徴は、とにかく今のことを犠牲にして将来手に入れたい物のために我慢を続けます。前回の快楽型の特徴に比べ、数は少なく周りからも堅実な印象を持たれますが、ある種お金に関して間違った囚われを持っている点では似ています。
ある人は、高級ブランドの服を身に着ければ楽しい毎日が送れると、それを買うために節約をはじめます。念願の服を手に入れると喜び、念願が叶ったと安心します。
しかし、その楽しさはすぐに消え、また何か足りない物が目につくようになります。服よりも、ベンツを買った方が移動時間も快適になり有意義なのでは…。
この時点で、この人に幸せを与えそうな物は高級車だけになります。高級車さえ手に入れれば生活の質は上がるだろうと。節約に節約を重ねて高級車を手に入れた時の達成感は格別な物です。ただ、この喜びも短命に終わります。
次はブランドバッグ、マイホーム、ホームシアター…、というように、どんどん必要な物が増えてきます。長い長い節約生活の末念願の物を手に入れますが、その喜びは数ヶ月で薄れてしまいます。
このタイプの人の問題は大きくわけて二つあります。一つは「これを手に入れたら生活はよくなる」と信じているものが、他人の価値観に従っていること。二つ目は、我慢した後に得られる解放感を喜びと信じていることです。
現在にも楽しみを
「次は何を買おうかな?」、「次は何を揃えよう?」という質問には、それが手に入らないと幸せになれないのでは? という意味が見え隠れします。
このタイプの人は真面目でストイックな人が多いのですが、もしそんな風に考え始めたら、「どうやったら今も将来も楽しいかな」と考えてみてはいかがでしょう?
「節約なんかやめて欲しい物を買おう」というわけではなく、今の生活も大事に、やせ細ることが無いようにしていただきたいということです。
いきなり禁煙をしてイライラするより、ガムやコーヒーなど比較的安価な物を利用することでスムーズに行くことがあります。書籍代が馬鹿にならない場合、まったく買わないようにするよりも、面倒ですが図書館で読める本はたくさんあります。運動できるのはスポーツジムだけではありません。公園を走った方がリラックスできるかもしれません。
意義のある節約
ただし、お金が有限である以上、将来に向けて節約することはどうしても必要ですし、節約を楽しむことは難しいかもしれません。
しかし、他人の期待や世の中の価値観ではなく、自分に取って本当に価値のある物を買うために節約した場合、将来のことを考えることによって今の節約は我慢ではなくなることがあります。あるいは、その節約を楽しいとさえ思うこともあり得ます。
あなたの今の節約は、本当に自分に必要な物ですか? 節約にこだわりすぎて周りとの関係が悪くなっていませんか? 将来のことを考えると、今の節約を楽しめますか?(執筆者:松岡 紀史)