さて、今回は、日本の金融商品の中でも、多くの方が投資している投資信託について、取り上げてみたいと思います。投資信託は、利用している方が多い割には、必ずしも利益を出せていないのが実状のようです。実際に、私のところに相談に来られる大半以上の方が、「含み損」を抱えています。
では、何故、それだけ多くの投資家が、投資信託で損失を抱えてしまうのでしょうか。本来であれば、投資信託は、“プロ”に運用してもらう金融商品の為、もっと利益が出ても良い気がしますが、何故、上手くいかないのでしょう!?
それは、投資信託の選び方、投資方法、購入後のメンテナンスの有無など、「勝つ為の条件」が整っていないことが考えられます。本日のタイトルにあげた“失敗しない”ためには、逆に、まずは多くの投資家が失敗している要因を特定し、それを防げば「勝つ確率」を高めることができます。
では、まずは多くの投資家が失敗している要因について考えてみましょう!
目次
投資信託で失敗しているケース
<ケース1> 「いきなり薦められるままに投資を行う 」
失敗している多くの投資家の共通点の一つが、金融機関の窓口で、担当者に勧められるまま、その商品性をよく理解しないで、投資を行っているケースが多く見受けられます。結果、取らなくて良いリスクを買ってしまうことになるので、絶対に理解できないものへの投資はやめましょう。
<ケース2> 「人気があると言われる投資信託に集中投資を行う」
2つ目は、金融機関での情報やWEBのランキング情報などによって、「人気がある」、「売れている」投資信託に集中投資を行っているケースがあります。
しかしながら、「人気がある」=「成績が良い」という方程式は必ずしも当てはまりません。特に、金融機関が売りたい投信は上位になりやすく、すなわちそれが「人気のある(売れている)投資信託」となるからです。実際に、同じカテゴリーの中の他の投信と比較した場合、必ずしも人気がある投信が成績の良いとは限らないのです。
また、人気があるからと言って、その投資信託にまとまったお金を集中投資すると、万一、値下がりした場合、大きく損失を抱えることとなります。基本は、投資信託の場合も、まずは「成績のよい商品」を選び、そして「分散投資」を行うことが重要といえます。
<ケース3> 「購入したあと“ほったらかし”状態にしてしまう」
金融機関で投資信託を購入する場合、買うときには熱心に説明をしてくれますが、買った後、しっかりとメンテナンスをしてくれる金融機関は非常に少ないと言えます。というのも、金融機関の窓口は、金融商品の販売をするのが仕事であり、“アフターフォロ-専門セクション”ではないからです。
従って、買い替えを勧められる(新しい商品を販売される)以外は、買ったまま“ほったらかし状態”になっている投資家の方が多いのです。そして、ふと気になって時価をみてみると、買った時より大きく値が下がっていたという「投資家の声」を多く耳にするのです。
「資産運用」においては、仮に、どんなにしっかりとプランを作って、よい金融商品を購入したとしても、市場の変化に合わせて、対応することが必要です。そのような“見直し(メンテナンス)”の仕組みを持っているのと、持っていない投資家では、まったく違う結果となってしまうことを、是非、頭に入れておいてください。
投資信託で失敗しない“3つの条件”
さて、ここまで、多くの投資信託を購入している投資家の「失敗している共通点」をみてきました、では、一体、“失敗しない”為には、どのようにすればよいのでしょうか!?
答えは、上記3つの要因に対して、きちんと対応をするということです。
→ 自分にあった「プラン」で運用する
2. 人気があると言われる投資信託に集中投資を行う
→ 成績の良い投信を組み合わせて「ポートフォリオ」で運用する
3. 購入したあと“ほったらかし”状態にしてしまう
→ 「市場変化」に合わせてプランも見直す
ということです。
一つ目は、いきなり投資を行うのではなく、自分自身にあった「運用プラン」をまず作ることです。そうすれば、買う必要もない商品、取らなくても良いリスクを取ることは無くなります。
二つ目は、前述したように、運用の上手い投資信託を選ぶと共に、それらを組み合わせて「ポートフォリオ」で運用を行うということです。これによって、“勝つ確率”をグンと高めることができます。
そして、三つ目が、「市場の変化」に応じて、プランや投信を変更するということです。世の中の流れ以上に、株式や債券市場は目まぐるしく動いています。従って、その時々に合わせて、プランの見直しは必須条件なのです。一般的によく言われる「PLAN(計画)⇒DO(実行)⇒SEE(見直し)」といった“管理リサイクル”を、資産運用においてもきちんと回すことが重要と言えます。
是非、上記3つの“失敗しない条件”を、投資信託の運用にも取り入れて頂きたいと思います。(執筆者:荒川 雄一)