目次
解説
均等割の負担を軽減するために、資本金等の額を引き下げるには、剰余金の配当による方法と自己株式を取得して償却する手法があります。
1. 剰余金の配当による方法
(1) 会社法の手続きに従い、資本金からその他資本剰余金へ振り替える。
(2) その他資本剰余金を原資に実際に配当を出す。
※みなし配当が発生するケースがあるので、注意。
2. 自己株式を取得して償却する方法
(1) 会社法の手続きに従い、自己株式を取得する。
(2) 取得した自己株式を償却する。
※剰余金の配当と同様に、みなし配当が発生するケースがあります。
3. 注意点
(1) いずれの方法でも、会社法の手続きに従う必要があります。特に資本金の額を資本剰余金に振り替える際には、債権者の承認を得る債権者保護手続きが必要です。
(2) いずれ方法でも、みなし配当に注意が必要です。みなし配当が発生すると、配当を受けた株主が課税され、法人側でも配当の払い戻しの際に源泉徴収をする必要があります。
(3) 自己株式の取得による方法は、株主を指定して実行することが出来ます。ただし、自己株式をいくらで買い取るか、つまり自己株式の時価の算定の問題があります。
(4) 法人住民税の均等割の額は、「資本金の額」が基準になるわけではなく、あくまで、「資本金等の額」が基準になりますので、注意が必要です。
要するに…
過去に安易に増資をしてしまい、結果としてその後、多額な均等割の負担に苦しむ会社があります。ましてや、日本の各地に支店や営業所などを設置している会社は、均等割だけでも相当な負担になってしまいます。この問題を解消するために、資本金等の額を減少させて、その負担を軽減することを検討してみてはいかがでしょうか?(執筆者:小嶋 大志)