筆者は広島県に住んでおり、中四国地方の高校等で保護者向けに進学資金に関する講演を数多く行っていますが、地方は大学の数が少なく、子どもの希望に合った大学や、よりレベルの高い大学を目指すとなると、必然的に親元を離れて暮らすことになる場合が少なくありません。
一方で地方の所得水準は大都市圏に比べると相対的に低く、学費のみならず家賃・食費・光熱費といった生活費の仕送りをするとなると、家計への負担が重くのしかかります。そこで多くの学生が利用するのが日本学生支援機構の奨学金ですが、この日本学生支援機構の奨学金以外にも、よく調べていただきたい制度があります。
奨学金制度と授業料減免制度
まず挙げられるのが各大学が独自で設けている奨学金制度や授業料減免制度です。大学によって制度は様々ですが、たとえば早稲田大学は「めざせ! 都の西北奨学金」という首都圏以外の高校出身者のための奨学金制度を設けています。
これは一般入試およびセンター試験利用入試による受験者で、一定の基準(成績・収入等)を満たして採用された学生に年額40万円、4年間継続すると総額160万円を支給する制度です(早稲田大学HPより)。
大学4年間に掛かる費用を考えれば十分な金額ではありませんが、返済義務がある「貸与」ではなく「支給」である点は魅力的ですし、1ヵ月当たり3万円強と考えれば生活費においては決して小さい金額でもありません。
また東京大学は世帯総所得が218万円以下(給与所得のみの場合は400万円以下)の学生は授業料が「全額免除」になる制度を設けています。全額とまではいかなくても、入試の点数が上位の者には授業料を「半額免除」するといった制度を設けている大学は意外とたくさんあります。
そのような制度があるなら、本人に受験勉強をしっかり頑張ってもらえば家計への負担を抑えられる可能性があります。勧めるわけではありませんが、敢えて上位の点数を狙えそうなレベルの大学を選んで受験する人も現実にいるくらいです。
「学生寮」にも大きな家計メリット
このような奨学金、授業料減免制度のほかにも、たとえば「学生寮」なども家計の負担を抑えるうえでよく調べてほしいポイントです。最近の寮はほぼワンルームマンションと同じような最新の設備で個室が用意されており、それでいて個人でマンションを契約するよりも費用は安く抑えられるところも多くあります。
逆に施設はやや古く、部屋は相部屋だけど、そのかわり食事も付いて費用はとても割安といったところもあります。本人が我慢できるかが問題ですが、家計にとっては大きなメリットです。
また寮のメリットとして、大学の近くにある場合が多く交通費も節約できることや、特に女子の場合はセキュリティ面で安心できるということもあります。
景気は回復しているといってもその効果が地方まで十分に波及するには至っておらず、地方から都市部への進学は依然として家計にとっての負担が非常に大きいことを講演のたびに感じていますが、少しでも負担を軽減しながらお子様の希望を叶えられるように、有利な制度があれば上手に活用していただきたいと思いますし、そのためには何よりも親子でしっかりと情報収集していただきたいと思います。(執筆者:長尾 真一)