目次
1. 損害保険に加入する時を思い浮かべてください
損害保険で一番身近なものといえば、自動車保険。では、自動車保険に加入する時のことを思い浮かべてみてください。
対人・対物賠償責任保険の保険金額は「無制限」に加入する。自動車事故で人を死亡させてしまった場合などは、賠償金額が億単位になる可能性もあるので「無制限」を選択するのが妥当な考え方だからです。
一方、車自体を対象にした「車両保険」はどうか? 新車にした時には、加入する方がほとんどですが、2回目の車検の後、加入しないという選択をする人もでてきます。
査定しても車両価額が50万円程度であれば、あえて車両保険に加入しないという判断ができるからです。そして、損害保険の最大の特徴は、必要な期間のみ加入するということ。自動車保険も、車を保有している期間だけが必要なわけです。つまり、損害保険に加入する際には、加入目的と保険金額、保険期間が明確です。
2. 生命保険加入時は、合理的な判断ができない人が多い
生命保険も損害保険もそうですが、保険加入する最大の目的は、「万が一の時に、自力では対応できない経済的損失を補填する」こと。ところが、生命保険に加入しようとする時、日本人の頭の中に「安心料」、「お守り」という情緒的な感情が入ってきます。
「自分が入っている生命保険は三大疾病に関する保障がついていないから、見直しが必要」、「テレビを見ていると、病気になった人でも安い保険料で医療保険に加入できそう」などと言ったりします。
公的医療保険に加入していれば、高額療養費制度があり医療費の上限金額が決められているので、民間医療保険に加入していなかったため、家計が破綻するというようなケースはほとんど想定できません。
保険期間についても、必要な期間だけ加入するという損保的発想ではなく、例えば、お子さんがすでに成人しているのに、高い保険料を払って保険を継続しているケースを多く見かけます。
3. 損保的感覚で生保を考える
これからの日本を考えれば、社会保険料や税金などの負担は増えていく一方、収入がそれらの上昇率に準じて上がっていくかといえば、そうとは限りません。逆に可処分所得は減る可能性の方が高いと思います。
すでに実行されている方もいらっしゃいますが、生命保険を損害保険のような考え方で加入することによって、さらに生命保険料を削減していくという流れがやってくると思います。
もう一度、ご自身の生命保険を「必要な保障を必要な期間だけ加入」という鉄則に基づいて見直ししてみてはいかがでしょうか。(執筆者:釜口 博)