ご主人である太郎さんがお亡くなりになった場合、奥さんである花子さんが通帳や印鑑等を持っていた場合でも、預金は降ろせません。コレ本当なんです。
なぜなら、ご主人が亡くなった時から、預金をはじめ財産すべては、相続人の「共有」となります。花子さんに息子が1人(一郎クン)いた場合、相続分は半分づつとなります。
ね! 分かってきたでしょう? 太郎さんの預金はすべて花子さんのものではなくて、花子さんと息子の一郎クンの「共有」になるわけです。ですから、花子さんの独断では降ろせなくなります。
目次
預金を下ろすのに必要な書類は?
では、降ろすためにはどうすればよいのか?
金融機関によって違いますが、2つの「証拠書類」の提出を求められます。1つ目は、太郎さんが亡くなったことや実際口座があることを証明する書類。
・預金者である太郎さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本
・口座の預金通帳と届出印
などです。2つ目は、花子さんとと息子の一郎くんが相続人であり、かつ相続でモメていませんよ。ということを証明する書類
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明
などです。
これを太郎さんが、預金しているすべての銀行でやらなきゃお金が降ろせないんです。大変でしょ? まあ何十円なら、そのままでもいいでしょけど、残高が3~4万円…そのままにしとくわけにもいかないですよね。
3つの予防策
(1) 通帳は1つにまとめましょう!
と、いうことで通帳は1つにまとめましょう!
当たり前ですけど、1つの金融機関なら1回で手続きが済みます。ただし、ペイオフ(1,000万円以上のお金は保護されない)などの問題もありますので、1,000万円以上の預金がある方はご注意を! 3~4万円の残高のあるものは、今すぐ全額降ろして、メインバンクに預金しましょう。
(2) 奥さん(花子さん)名義の口座を用意しておく
預金が降ろせないと、葬式代も出せないことも! そのためには、奥さん(花子さん)名義の口座を用意しておく。
毎年110万円までは、贈与税は非課税になります。何年かに分けて贈与を受けることで、税金を払わないで済みます。その際は、『贈与契約書』など、証拠書類の作成も忘れずに…。あえて、110万円以上の贈与を受けて、贈与税の申告をし、その申告書を、贈与を受けた証拠とする場合もあります。
(3) 『遺言代用信託』を利用する
最後は今CM等でもおなじみの、信託銀行が用意している『遺言代用信託』を利用する。
これは、ざっくり説明すると、事前に太郎さんが受取人(花子さん)を指定します。万が一のときは、花子さんが必要書類(除籍謄本、通帳、花子さんの印鑑証明など。これも銀行によって多少違います)を持っていけば、すぐにお金を受け取ることができるというものです。
平成23年度は、わずか64件でしたが、平成24年度は18,742件と急増しました。(一般社団法人 信託協会調べ)
このような信託等を利用すれば、万が一のときも慌てないですみますね。元気なうちにこそ、できるところから準備を進めることが必要です。(執筆者:中森 学)