円満相続にするためには…、相続手続きをスマートに行うためには…、相続税を少しでも抑える(節税する)ためには…等ということで、相続について多くの相談を頂きますが、皆さんは、相続対策を練るうえで、最も重要なことは何だと思いますか?
年間で500件を超える相続のご相談を受ける中で、確かに、相続される側、相続する側の「想い(思い)」や「心(ココロ)」等は、非常に大切な事であり、多くの実務家もこの点については、触れるようになってきました。
確かに、それは、理想的な相続対策を実行する上で非常に大切な事で、それが根底に無ければいけないと思いますが、現実的には、既にご家族の仲が良くなかったり、かつての一次相続の際に、かなり揉めてしまった等のことにより、必ずしも、「想い(思い)」や「心(ココロ)」を最優先するのは困難かもしれません。
そんなこともあり、今般は、実務的な部分での最も重要なことについて触れていきたいと思います。
実務家にとっては、基本的といよりも初歩的なことかもしれませんが、それはズバリ、「推定相続人の特定」です。
実務家の方をはじめ、相続に詳しい方であれば、それは当然と思われる方もいらっしゃいますが、現実の世界では、「相続コンサルティング」をされている方の中でも、多くの方が、この部分は後回しになってしまっています。
例えば、不動産業者に対して、「相続に絡むご相談なんですが…」と仰る相談者に対し、多くの不動産業者は、推定相続人の確認を行うことは稀有です。
分割・納税・節税のそれぞの対策を講じるうえで、推定相続人の確定ができなければ、そもそも、相続の相談にのること自体が出来ません。
笑い話になりかねない例としては、過去に他の不動産業者に相談して、節税対策を講じたお客様でしたが、私に相談にいらして、試算してみると、そもそも節税対策を講じる必要が無い方でした。
また、別の例では、約半年間、土日はほとんど、相続コンサルタントとFPとの相談に時間を費やして相続対策案を練ったという方も、いざ実行しようと思い、行政書士に戸籍の取得をお願いしたところ、推定相続人が異なり、せっかく練った相続対策案も、はじめから検討し直し…等といった話もよく伺います。
特に、親の相続や、祖父母の相続でのご相談ということで、お子さんや、お孫さんがいらっしゃるケースではこのようなことが、比較的多く見受けられます。
昔は、養子縁組が盛んにおこなわれていたり、近年では、離婚件数が昔と比較し、急増していること等もその一因といえますが、相続対策を行う上で、基礎中の基礎ではありますが、ここは抑えなければいけない点だといことを皆さんの頭の片隅にインプットしていただければと思います。(執筆者:佐藤 雄樹)