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運用残高2兆円を超えた「ラップ口座」 そのメリットとデメリットとは

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運用残高2兆円を超えた「ラップ口座」 そのメリットとデメリットとは

 2013年以降、急拡大を遂げている「ラップ口座」はご存知でしょうか? 日本投資顧問業協会の調べによると、2014年9月末の時点で、ラップ口座運用残高の推計は2兆円を超えており、12、13年には1兆円に満たない運用残高だったことを考えると、注目の資産運用法だと言えます。

ラップ口座とは?

 そもそもラップ口座とは何でしょうか?

 ラップ口座とは、個人資産の運用・管理・投資アドバイスを証券会社または信託銀行がまとめて行なうサービスのことで、「ひとまとまりに包んで(ラップ)います」という意味で、ラップ口座と呼ばれているんです。シンプルに言うと、投資信託の発展型、というイメージでしょうか。

 発展型というだけあって、投資信託とはちょっと違うんですね。投資信託は、投資信託の各商品を一つ一つ買うものですが、ラップ口座は個人投資家の意向に応じて、証券会社が投資信託を含めた金融商品(国内株式、国外株式、債券等)を売買します。ですから、ラップ口座運用の前に、証券会社は運用に関するアンケートをとって、希望する運用方法を聞いてくれます。

 手数料の仕組みも異なり、投資信託の場合は信託報酬という形で証券会社に手数料を払いますが、ラップ口座では一括で手数料を払います。つまり、証券会社がどの金融商品で運用したとしても、手数料は一律。ただし、運用資産額に応じて手数料は違ってきますし、成功報酬型と言って、運用成果が良ければ追加で手数料を支払うコースもあるんです。

実際の手数料は?

 一例ですが、ラップ口座4大証券(大和証券、三井住友信託銀行、野村証券、SMBC日興証券)の一角、大和証券の手数料を見てみたいと思います。

 大和証券のラップ口座「ダイワファンドラップ」は、契約金額が300万円~となっていますが、300万円をラップ口座で運用した場合にかかる手数料は、年率・税込で1.512%。つまり、一年で300万円×0.01512=45,360円の手数料を支払うことになります。

 これは、契約資産の時価評価額に対する手数料ですので、元本300万円である自己資産が運用によって変動すれば、支払手数料も変動することを覚えておきましょう。

ラップ口座の注意点

 この他に、もう一つ忘れていけないのが信託報酬。ラップ口座によっては投資信託のみで運用しているのですが、代表的なのが上述したダイワファンドラップ。投資対象は主に投資信託ですから、別途で信託報酬手数料がかかってきます。最大で1.41%(年率・税込)かかってくるので、ラップ口座手数料の1.512%と合わせて、計2.922%の手数料を支払うことになります。

 以上、ラップ口座の概要を見てみると、ラップ口座のメリットとデメリットが浮かんできますね。ラップ口座のメリット、そしてデメリットとは何でしょうか?

ラップ口座のメリットとデメリット

 ラップ口座のメリットは、ただただ投資信託で資産運用するだけでなく、本人の意向に合わせた臨機応変な運用が可能になる点です。3つに区別すると、保守的、中立的、積極的の3種のいずれかのタイプで運用することができ、タイプ別でリターンとリスクの程度が変わってきます。投資信託の中の一商品で運用するより幅広い、順応性のある資産運用ができるでしょう。

 また、個人で株式や債券等の銘柄を選別し運用するには手間暇かかり、時間がかかります。それを手数料という形で “時間” を買い、プロに運用してもらえるというのは大きな強みでしょう。

 ただし、デメリットに注意したいのですが、ラップ口座はその他資産運用商品と同じく、元本割れリスクが潜在します。中立的運用を選択すると年利回り8.3%の実績があるとはいえ、仮に世界同時株安などが起これば、利回りがマイナスになる、つまり元本割れになることもあり得るわけです。定期預金とは全く異なる性質の投資であることを忘れてはなりません。

 また、現在各証券会社の商品概要を見てみると、最低でも300万円からの契約となっています。300万円はかなりの大金ですから、それ相応の決意が必要になるでしょう。

 また、二重の手数料を支払うことがネックとなります。ただただ投資信託商品を買うのであれば、信託報酬を支払えばOK。しかし、ラップ口座の投資対象が投資信託となると、ラップ口座手数料の他に信託報酬を支払うことに。そこまでしてラップ口座を利用する必要があるのか、疑問を感じるところです。

 おさらいになりますが、ラップ口座で資産運用する場合、以下の要素を考慮する必要があります。

◆証券会社
◆手数料
◆ラップ口座投資対象商品
◆投資スタイル(保守的/中立的/積極的)

 以上、基本的要素に加え、メリットとデメリットを考えながらラップ口座利用の可否を考えましょう。(執筆者:堀 聖人)

《堀 聖人》
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「お金のために働くのではなく、お金に働いてもらう」ことをライフテーマとするアラフォー。銀行にお金を預けるだけでは時間とお金を活かしきれていないと悟り、お金がお金を生む仕組みを独学で学ぶ。投資歴は株式投資8年、FX3年。開設済み証券口座は5口座、FX口座は10口座以上。株式投資、FX投資、クレジットカードをメインに鋭い視点からなるコラム執筆中。日経ヴェリタスなどでもコメント。 <保有資格>:第二種証券外務員資格 <メディア掲載>:日経ヴェリタス 2015年11月15日号、 株完全ガイド(晋遊舎) 寄稿者にメッセージを送る

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