年末調整の季節になりました。生命保険や損害保険などの控除証明書も続々と届いています。国民年金の控除証明書も届きましたか? 今年9月までに国民年金を支払った場合は11月に届きます。それ以降の場合は来年2月です。
国民年金の支払額は、社会保険料控除の対象です。例えば今年4月に就職された人。1~3月は国民年金を払っていれば、その控除証明書を使って社会保険料控除が受けられます。例えばお子さんが20歳になり、まだ学生だからと、あなたが国民年金を払っている場合、控除証明書を使って社会保険料控除が受けられます。
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「前納」した場合、控除を今年と来年に分割できるの?
では、今年から始まった国民年金の2年前納を使って、2年分を一度に納めた人の場合は、どうなるのでしょうか?
社会保険料控除は、「納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合又は給与から控除される場合などに受けられる所得控除」(国税庁ホームページより http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1130.htm)となっています。
控除証明書には、今年支払った2年分の金額が記載されています(355,280円)。でもこれは、平成26年4月から平成28年3月分まで。これを一度に控除を受けてしまうと、来年は控除を受けられない。
自分の所得税の金額を考えると、どちらかといえば分割して控除を受けたい…と考えているあなた! 払ったときに2年前納で国民年金を納めた場合、社会保険料控除として次の2つの方法がとれるようになりました。
(1) 前納した金額すべてを今年の社会保険料控除の対象とする方法
控除証明書を年末調整の際に添付してください。H26年の年末調整で2年分の金額が社会保険料控除の対象となります。次は、H28年まで控除できません。
(2) 対象月ごとに分けて社会保険料控除とする方法
控除証明書に、日本年金機構が指定する控除額内訳明細書(http://www.nenkin.go.jp/n/open_imgs/info/0000022815vr5gMyFouo.pdf)を添付して、H26年の分の金額を控除の対象とします。
H26年末調整
H26.4~12月分(払った金額×9/24)を控除証明書+控除額内訳明細書で控除
H27年末調整
H27.1~12月分(払った金額×12/24)を控除証明書(再発行してもらう)+控除額内訳明細書で控除
H28年末調整
H28.1~3月分(払った金額×3/24)を控除証明書(再発行)と控除額内訳明細書で控除
H28.4に支払う2年分のうちH28.4~12(払った金額×9/24)を控除証明書と控除額内訳明細書で控除となります。
毎年控除証明書の再発行を依頼する必要があります(自動的に発行はされません)が、選択肢のひとつとしてお考えください。ご自分の収入・所得を確認して、一番いい方法を選んでください。
ただし、これは前納(将来の分を支払った場合)に使えます。たとえば、過去に免除を受けていた分を何年か一括して支払った場合には、その年に支払った金額が社会保険料控除の対象となります。
一括で支払うと1か月分はトクをする2年前納。しかもその年の負担分を分割して控除が受けられるようになりました。これを機会に、ご自分がどれだけ所得税を納めているのか、確認してみませんか?
「2年前納」を使うときの注意点
最後に一つ、2年前納を使うときの注意点! 2年前納は4月から、しかも口座振替しか使えません。
例えばこんなときには注意です。
卒業してすぐ就職し、厚生年金に加入する場合。
こんな場合は早めに口座振替辞退申出書を金融機関へ提出してください。提出が遅れると、4月末に次の2年分口座振替がされてしまいます。就職が決まったらすぐに届け出たほうが無難です。後で還付はされますが、手続に時間がかかりますので、ご注意ください。(執筆者:山田 容子)
※参考:国民年金の2年前納について[日本年金機構](http://www.nenkin.go.jp/n/www/info/detail.jsp?id=28306)