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寡婦とは何か?
寡婦(かふ)とは夫と死別または離別し、再婚していない女性のことです。
現在、折しも個人の確定申告の時期ですが、所得控除の中に寡婦控除があるのをご存知ですか? 死別と離別または所得によっても適用が違いますが、心あたりの方は会社からもらった源泉徴収票などで適用漏れないか、確認をおすすめいたします。
夫が死ぬ前にやっておくべきこと
さて、当事務所にも突然夫が亡くなり、困惑して相談にいらっしゃる方があります。中でも最も困るのは、お金の管理を夫が全て行っており、夫婦の財産を奥さんが全く把握していないケースです。
夫が死ぬ前にやっておくべきことは下記の通りです。
2. 取引銀行、証券会社等一覧表を用意する。
残高や明細まではなくても大丈夫です。それさえあれば残高は調査できます。
3. 保険証券(契約者、被保険者、受取人の確認できるもの)を用意する。
4. 金庫の暗証番号などを知っておく。
お互いどちらが先に行っても大丈夫なように「財産ノート」の保管場所は教えておいた方がよいでしょう
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実際の例から寡婦の相続を解説
夫婦のみで子供なしのケース
必ずやっておいてほしいのが公正証書遺言の作成です。夫が亡くなった場合の相続人は奥さんだけではありません。夫の兄弟姉妹、甥、姪となります。その方たち全員に印鑑証明をそろえてもらい実印を押していただくことが必要となります。でないと預金も原則下ろせません。
中には相続人の住所地に手紙を出しても連絡が取れないこともあります。公正証書遺言があればその必要もありません。ただどの方も妻に全てと書いていただけるわけではありません。夫の親から相続した土地が含まれたりすると、夫の死亡時に他の兄弟へ戻してほしいなどといった事案もありました。子供のいない奥さんが相続した場合、その土地は、もう夫の実家には戻らないためです。
残された相続人が妻と子のケース
相続税が心配だからと夫が亡くなった時あまり妻に財産がいかない方がお得です、とアドバイスされる方がありますが、あくまでそれは子供たちから見た相続税金の話です。妻がお金を握ることで、自分の老後を誰に見てもらうのか、どの施設で老後を過ごすのか決められます。
また子供が未成年であった場合、遺産分割はややこしくなります。家裁での許可が必要になり、未成年保護の観点から原則、法定割合での分割を求められます。お金ならそれでよいですが、自宅の不動産のみだったりすると、それを共有割合で取得することとなり、将来、兄弟の間でもめ事の種にもなります。是非、専門家に相談してください。
自分が死亡後、あの世にお金は持っていけません。死亡後のお金を誰に託し整理するのか元気なうちに決めておくことが大切です。(執筆者:橋本 玄也)