前回は14年間のコツコツ投資の実例についてお話ししました。167万円積み立てて、121万円の利益。「すごいと言えばすごいけど、単純に計算すればたった年利5%ちょっとじゃない!」と感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。
正確にはこの例は毎月1万円ずつ積み立てての167万円であって、もともとの元本が167万円ではありませんから、利回りとしてはもっと高くなります。でも、1年で何倍にもなった株もたくさんありますから、そう考えると、たいしたことないかもしれません。
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成功例と失敗例
母は昨年2014年7月に、村田製作所を9700円で100株買って、現在(2015年3月)は約17000円になっています。つまり、97万円で買った株が8カ月で170万円に値上がりしたということです。これは73万円の利益(75%の利益)で年利にすると100%以上です。
というと、すべて結果がうまくいっているように思えるでしょうが、この裏には、今までに大きな失敗も数々あります。以前、ワラントに投資した時にはゼロになってしまったこともありました…。
また、村田製作所の例も、今時点で考えると成功例と言えるのかもしれませんが、このまま持ち続けた場合、もっと上がるかもしれませんが、反対に大きく値下がりしてしまう可能性だってあるわけです。
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コツコツ投資VS個別銘柄への投資
では、コツコツ投資と個別銘柄での株式投資、どちらがいいか?
これは一概には言えません。どんな目的で運用するのかによります。
しっかりと資産形成をしていきたいのであれば、コツコツ投資です。
時間をかけて
リスク(ブレ)を抑えながら
ある程度(預貯金以上、インフレ率以上)の利回りで増やす
それに対して、短期で大きな利益を取りたいのであれば、個別銘柄への投資です。個別銘柄投資では、計画的な資産形成はできません。
個別銘柄への株式投資は、株価が上がれば大きく利益が取れる可能性もありますが、反対に、投資先の業績や事業内容、その他の色々な要因で株価が大きく下がると大きく損してしまう可能性もあるわけです。
つまり、リスク(ブレ)が大きい運用になるため、大きく増えればラッキーだけど、万が一なくなってしまっても生活には困らないお金で投資することが大切です。
もちろん、株主優待狙いなどで株式投資を始めるのもいいでしょう。ただし、その場合でも、株価が大きく値下がりしてしまえば大きな損失となることも理解しておく必要があります。
このように、NISAへの第一歩は、どんなお金で、どんな目的で運用するのかによって、投資対象や投資手法が変わります。まず、何のためにNISAを活用したいのか、しっかりと考えてみましょう。(執筆者:時川 郁)