初めまして。兵庫県姫路市で弁護士をしております河野といいます。このたび、ご縁がありまして『マネーの達人』に寄稿させていただくこととなりました。よろしくお願いします。
記念すべき第1回目の投稿はズバリ「離婚とお金」についてです。
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仕事柄、離婚問題に携わることは多いのですが、「お金」という部分のみにフォーカスをあてることは普段無い事ですので、この機会に考えてみようと思います。
例えば、夫婦の一方の不倫が発覚したことを理由に離婚に発展した場合を想定してみます。このケースで離婚となった場合発生し得るお金は、
(2) 財産分与
(3) (子どもがいる場合)養育費
(4) 年金分割
などがあります。
目次
(1) 慰謝料
慰謝料とは、離婚の原因を作った方の配偶者(「有責配偶者」といいます。)が、もう一方の配偶者が受けた精神的な苦痛を慰謝するために支払うお金です。
金額は、何かルールがあって定型的に決まるものではありませんが、不貞行為の場合はおよそ150万円から300万円くらいの間で決まることが多いと思います。
たまに、ネット等で「不倫の慰謝料の相場は300万円」などと書かれているものを見にしたお客様が、「最低300万円は取って欲しい」などと言われますが、条件により200万円台の判決が出ることも決して少なくないので、なかなか「300万円」という数字をお約束することは難しいところです。
(2) 財産分与
財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配することです。
具体的には、婚姻期間中に蓄えた貯金、加入した保険、購入した有価証券、不動産、そういった財産を離婚の際に分けましょうという制度です。
仮に、夫のみが働いていて妻が専業主婦であっても、相当な理由が無い限り実務上、分与の割合が2分の1以外の数字になることは稀です。「妻が家事や育児を行ってくれていたからこそ夫がそれだけの収入を得ることが出来た」と考えるわけです。至極妥当な考え方だと思います。
(3) (子どもがいる場合)養育費
養育費は、離婚後実際に子どもと一緒に住んで育てる方の親に対して、もう一方の親がしはらうお金です。
実務上は裁判所が作成した「算定表」により決まることが多いです。これは、双方の収入から妥当な養育費の金額を算定するためのものです。
我々弁護士も、協議離婚の代理をする際や離婚調停の際に参考にすることは多いです。
(4) 年金分割
年金分割とは、ざっくりいえば婚姻期間中に掛けていた年金を離婚後に配偶者間で分ける制度です。
請求できるのは、離婚後2年以内ですので注意が必要です。年金分割については、制度もそれなりに複雑で誤解されることが多いところですので、年金事務所や弁護士などの専門家にご相談されるとよいと思います。
一口に離婚と言っても色んな名目のお金が動きますね。
もちろん、ここにあげたもの以外に、弁護士費用や不貞行為の調査費用といったお金がかかるケースもあります。お一人で悩まずに、専門家に話を聞いてもらうことも重要です。各市町村等では、弁護士による無料法律相談を行っているところも多いです。そういったサービスをご利用されてもいいと思いますよ。(執筆者:河野 晃)