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ある民間団体が調べたところによると、
離婚後のトラブルの7割が金銭問題で、その中で一番多かったのが養育費の不払いだったそうです。
養育費は、未成年の子どもが社会人として自立できるまでに必要な費用(衣食住の費用・教育費・医療費など)とされていて、通常は成人までとすることが多いですが、最近は大学や専門学校への進学も多いため、大学などを卒業するまで、とすることもあります。
子どもが小さければ小さいほど、成人あるいは大学などの卒業までかなりの長期間になるため、支払いを受ける者も支払う者も収入状況が変わりがちです。
また、収入面以外に、たとえば子どもと養育費の支払をする親とが次第に疎遠になると、なんとなく支払が滞りがちになることもあるでしょう。
よく支払いを受ける側(女性のことが多いです)からご相談を受けるのが、
というもの。
離婚の際に、まとめて将来の養育費分をもらっておけば、先々のことを心配せずにすむことになります。
ただ、養育費は未成年の子どもの日々の生活のために支払ってもらうものなので、定期的に給付されるのが原則ですし、現実的にもまとめて支払うことが困難なケースも結構あるでしょう。
仮に一括での支払が可能であるにしても、ある程度事情が変わることは織り込み済みとなるため、たとえば将来さらに費用が必要になった場合に、追加で支払を求めることが難しくなります。
また、一括で払うと、そのお金を管理する親が、子どもの日々の生活にあてる目的以外で使ったり、浪費することを防ぐのが難しくなります。
ですから、一括払いで養育費の支払を受けることは可能ですが、将来事情が変わった場合の増額が難しくなりうるのを念頭に取り決めをしておく必要があるでしょう。
また、話し合いにより月払いで養育費の支払を受けることに決まったときでも、支払が少しでも確実に受けられるよう、支払が滞れば給与債権など相手方の財産に差押ができるような文言をつけた公正証書にしておくべきでしょう。(執筆者:片島 由賀)