「節約ができない」というお悩みは、幅広い世代、幅広い所得層の方から寄せられます。なぜ、あなたは節約ができないのでしょうか?
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目次
節約できないのは、切羽詰まっていないから
それは、節約に対する切迫感が低いからです。これにつきます。本当にお金のない人は「節約ができない」とは言いません。「お金がない」と話します。
本当にお金がない人は、最低限生きるために必要な物から順位をつけて、何とか食べて暮らして行こうと必死でやりくりをします。「お金がない」と言って頑張っている方が状況を改善させるためには、別のアプローチが必要ですので、ここでは「節約できない」と嘆く方へのアドバイスをさせて頂きます。
手厳しいようですが、「節約できない」というレベルの方は、言うほど切羽詰まっていないから「節約できない」のです。ほんのちょっとだけ贅沢な物や楽しみのために使うお金が、手元にあるのですから。
私は、それを「いけない」とは思いません。いいじゃないですか。ちょっとの贅沢。ささやかな楽しみ。それを買わなければ、味わうことはできないのですから。
ただし、10年後、20年後にどうなっているかは分かりません。10年後や20年後の家計の状態にしっかり向き合い、真剣に危機感を抱いたのなら、それを他人事と思わずに真剣に考えることです。将来の家計がどうなるかを考えたことがない、考えたくない、という方は論外。まずは一度、ざっくりとで良いので、試算をしてみましょう。
家計のやり繰りは、お金の最適な配分を考えること
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なぜあなたは「節約ができない」と嘆くのでしょう。節約をする代わりに手に入れた、ちょっとの贅沢やささやかな楽しみを味わっておきながら。
冒頭から、ちょっと手厳しかったようですね。そう、あなたは、節約をしない代わりに、欲しいものを手に入れたのです。立ち止まって考えてみましょう。節約をしたいのか、贅沢や楽しみを味わいたいのか。
家計のやり繰りは「限りあるお金について、最適な配分をすること」です。
今月の家計に関しては、今月使えるお金をどう配分するかであり、年間の家計は今年使えるお金をどう配分するか、です。10年先までの家計は10年分のお金の配分ですし、教育費が一段落するまでの家計は、それまでのお金の配分と言えます。老後の生活費を心配する人は、一生分のお金をどう配分するか、と言い換えることができます。
それが、マネープランというものです。
たとえば食費を抑えたい場合
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「食費を抑えたい」とおっしゃる方は多いようです。しかし、食費ほど削り方にバリエーションのある費目はありません。裏返せば、
食費ほど使い方にバリエーションのある費目はない、とも言えるでしょう。
食費の内訳が、野菜や肉・魚などの素材と醤油や味噌、塩、砂糖などのシンプルな調味料がほとんどを占めているというご家庭と、食費の多くがお惣菜と外食というご家庭では、食費を削るポイントが全く違います。
どちらが減らしやすいという問題ではありません。そもそも生活スタイルの違いが背景にありそうですし、食に対する考え方も違うかもしれません。
ですから、単純に「食費を節約する」と言っても、各ご家庭の状況に合った節約方法を見つけなければ実行できません。読者の皆様も想像に難くないと思います。
共働きで食事を作る時間がないご家庭での食費、手料理をするけれど素材はオーガニックに限るというご家庭の食費、中高生の男の子が3人いるご家庭の食費、どれも高額になりそうです。けれど、生活スタイルや食に対する考え方を大事にするならば、食費は削れません。
むしろ、食費に十分なお金を配分して欲しいのです。食費にお金を回すために、何の支出を抑えましょうか?
そうです。それが家計のやりくりのポイントです。大事にしたい生活スタイルやポリシーがあり、そのために食費を充てる、と頭を切り替えます。優先度の低い支出を後回しにしたり、我慢したりすることで最適な配分になるのです。
一方、手料理を作る時間があるのに「ちょっと疲れたからお惣菜」とか、無計画に買ってしまった大量の業務用食材、整頓されていない食材庫や冷蔵庫の中から出てきた期限切れ食材……。こういう傾向のある方は、食費の枠を減らし、もっと使いたいものにお金を配分した方が、家計全体の満足度が高まるはずです。
これは、少しの意識や行動を変えればできます。
使うところには使う、だから節約もできる
まずは、あなたのご家庭にとって、確保したい費目や品目、止めるべき支出、止められそうな支出を区別しましょう。それは食費に限りません。支出を抑えてしまってはストレスになったり、生活を大きく変えてしまったりする費目や品目は、優先度の高い支出と言えます。
一方、買わなくても生活に支障がない、使わなくても環境が大きく変わらずに済む、という支出は、あなたにとっての節約商品です。
「節約できない」、「使いすぎた」という意識のあるあなたなら、胸に手を当てれば、うすうす何に浪費をしているのか気づいているはず。
「ついつい立ち寄ってしまうコンビニ」、「見出しを見てつい買ってしまう雑誌」、「季節が変わるごとに新調してしまう洋服」、「“かわいい~”と思ったら買わずにいられないプチプラ商品」……。きっとあなたにも悪いクセがあるはずです。
あれもこれもと窮屈な節約をするのではなく、いくつかの「悪いクセ」商品に絞って、半年などの一定期間の期限を設け、どれだけ使っているのかを集計してみましょう。これだけなら、がんばって家計簿をしっかりとつける必要もありません。愕然とするでしょうか。
金額を集計するまでもなく、明らかに浪費と自覚しているなら、思い立ったが吉日。今日から買うのをやめてみましょう。買うのを止めるのは、他でもない、あなたが本当に欲しいものを買うためです。本当に欲しいものにお金を配分するためです。
本当に欲しいものは何ですか
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あなたが本当に欲しいものは何でしょうか? それはいくらですか? いつ欲しいですか? 早く手に入れたいのなら、今すぐに不要な物を買うのはやめましょう。高額な物を欲しいなら、それにお金を貯めるために、今、不要な物を買うのをやめましょう。
私が感じるのは、「本当に欲しいもの」、「ついつい買っているけれど実は不要なもの」の区別がついていない(つけていない?)方が多いということです。欲しいものを買うために、どうでもよいものを止める。たったこれだけです。この意識を強く持つことで、お金の使い方がグンとスマートになるはずですよ。(執筆者:石原 敬子)