こんにちは! 国際フィナンシャルコンサルタントの荒川 雄一です。
さて、先進各国の量的金融緩和策が続く中、各国の外貨準備にも変化が表れてきています。そこで今回は、外貨準備を通して、世界経済の動向を観ていきたいと思います。
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外貨準備の通貨別シェア
まず、国際通貨基金(IMF)が公表している外貨準備の通貨別シェアを見てみましょう。
昨年9月末時点で、通貨構成比がわかっている各国における外貨準備残高は、6兆1857億ドル(約742兆円)でした。
そして、その通貨構成比をみると以下のようになっています。
ユーロ 22.6%
円 3.9%
ポンド 3.8%
スイスフラン 0.2%
その他通貨 6.9%
ここですぐに目につくのは、ユーロの比率が低下していることです。22.6%という水準は、2002年9月以来、12年ぶりの低い水準となっています。
要因としては、ユーロが対ドルで、昨年6月から9月の3カ月で約8%も下落したとともに、各国中央銀行によるユーロ買いが低下していることなどが挙げられます。
一時は、「米ドルに次ぐ基軸通貨」といった声もあり、構成比も30%近くまで上昇したユーロですが、今はギリシャなどをはじめとする南欧諸国の財政問題などに直面し、その勢いは完全に無くなってしまいました。
とはいえ、依然として1位を保っている「基軸通貨米ドル」も、このところ構成比率は低下傾向にあります。
また、「円」も何とか「第3番目の通貨」を維持してはいますが、構成比率は低位で推移しています。
では、逆に伸びている通貨は何なのでしょうか?
それは、上記のカテゴリーの「その他通貨」です。5年前は、約3%しかありませんでしたが、ここにきて「円」や「ポンド」よりも高い比率となっています。
その他の中で、代表的な通貨が、豪ドルとカナダドルです。先進国であると共に、資源国と言った共通点を持っています。
そして、最近存在感を見せているのが、「人民元」です。特に、アフリカとの経済関係を強化する中、ナイジェリアやナミビアなどが、人民元を外貨準備に組み込む動きが加速してきています。
各国の思惑は色々とありますが、自国通貨の防衛、経済・貿易の拡大など、外貨準備の持つ意味合いからすると、今後は、より「通貨分散」が進むものと考えられるでしょう。(執筆者:荒川 雄一)