こんにちは! 国際フィナンシャルコンサルタントの荒川 雄一です。さて、前回に引き続き、今回も外貨準備の動向をみて行きましょう。今回は、最近、世界経済への影響力が増してきた新興国の外貨準備です。
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新興国の外貨準備
外貨準備の変化は、新興国においてより鮮明に表れています。
IMFの統計によれば、新興国の外貨準備は、2014年の6月末をピークに、2四半期連続で残高は減少し、年ベースで初めて前年比“-1.4%”の減少となりました。
要因としては、ユーロ安のほか、アメリカ連邦準備理事会(FRB)の量的金融緩和の停止により、新興国に流れていた投資マネーが、米国に戻ったことなどが考えられます。
また、新興国の中でも、中東やロシアなど、原油価格の下落の影響を大きく受けている国や地域においては、外貨準備の積立額の減少、または積み立ての取り崩しなども起きており、外貨準備高減少の一つの要因としてあげることができるでしょう。
とはいえ、新興国の外貨準備は、この10年間で約5倍に膨らんでいます。その多くの資金は、「ソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)」として、世界中の株式や債券などに投資を行ってきました。
現在危惧されているのは、外貨準備の減少により、SWFによる投資が減り(投資マネーの減少)、結果、世界の株式や債券市場への資金流入が滞り、「リスクオフ」となることです。
今のところ、目に見えての変化はありませんが、「外貨準備の減少=マーケットの下落」という“流れ”も、頭の片隅には置いておく必要がありそうです。(執筆者:荒川 雄一)