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孫子は世界最古の最高のビジネス書
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皆さんは、孫子をご存知でしょうか?
孫子とは、中国春秋時代の思想家孫武によって著された兵法書です。始計・作戦・軍形・兵勢などに分け兵法を論じるこの書物、戦いの原則について記されている歴史的著書です。あのナポレオンも愛読したとか。
そんな孫子、2500年以上たった現代においても世界各国の多くの人に読まれています。現代において、企業経営とは相手との戦いと同義ということでその著の考え方が現代においても通用するとのことでビジネスマンを中心にいまだに読み継がれております。
例えば、孫子にこんな一文があります
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「兵は詭道(きどう)なり」
これは、戦争に勝つには、相手をいかに欺くかが重要ということです。
このように孫子は、熱血論やキレイごとに終始せず、「いかに勝つか?」について実践的な考えが記されている点が魅力です。時代を超えて、我々の直面する問題に対するヒントを与えてくれます。(より専門的な見解は専門家の書いた書物に目を通すことをお勧めします)
中国の古典にFXで勝つヒントがあった
そんな孫子、ビジネスだけではなく、実は投資(今回はFX)についても多くの示唆を与えてくれます。
FXと中国春秋時代の戦争、一見何の脈絡もないように思えますが、FXはマーケット参加者同士、つまり人と人とのお金の奪いあいです。如何に相手を打ち負かすかという点で根本は同じであるといえます。
今日は、FXの「戦い」を制するために、孫子の兵法から一文を紹介してFXのヒントを見つけていきます。
「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」
この一文は、「敵だけでなく己についても情勢をしっかり把握しなさい。そうすれば、何度戦っても負けることはないだろう。」という意味です。
FXの場合、「己」とはそのまま「あなた自身」。一方、「彼」というのは自分以外の市場参加者、つまり「マーケット」のことです。つまり、「マーケットのことだけではなく、自分自身のことについてもしっかり把握しなさい。」と置き換えることができます。
FX初心者は、マーケット(彼)について、ファンダメンタル的アプローチ、テクニカル的アプローチを問わず熱心に勉強をしますが、一方の「己」の分析については思った以上に怠ります。
己を知るとはどういうことか?
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ここでいう己の分析とは、資産管理のことです。
つまり、「今どのくらい口座に資産があるのか?」、「資産から考えてどのくらいまでならポジションを持てるとか?」、「1度のトレードでどのくらいまでなら損を許容できるか?」といった自分自身のリスクマネージメントについての分析が「己を知る」ということです。
今まで職業上、数々のトレーダーを見てきますが、実に多くの方がこの「己」の分析をせずにマーケットから撤退しています。
その多くは「自分は他とは違う」という過信です。なぜか投資の初心者が「ビギナーズラック」を経験すると、ほとんどの方が「自分は投資の才能があるのかもしれない」と過信します。
そして、この過信が許容範囲を超えるポジションメイクにつながり、一度のトレードで壊滅的な損失を被ることになります。
こういった方が日本では実に多いので、「投資を始めたが損をしてやめた=投資は危ない」となり口座に対する投資比率がなかなか増えない一因となっています。
現実的に資産1億円を貯めるには?
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自分の能力の枠内を知ることで、マーケットから現実的に利益を得る方法が見えてきます。
300万円を年利20%で運用し続ければ、40年後には36億円(!)になります。それくらい勝ち続けるというのは難しいことです。
上記を頭に置いておけば、少なくとも、「月利」20%といったような非現実的な甘い詐欺に引っかからなくなります。
能力を超えたトレードをして破綻するのではなく、どうすれば現実的に金融資産5000万円や1億円(多くのトレーダーが第一目標として掲げるライン)に到達するのかをまずは考えるべきです。
そのための第一歩が資産管理です。くれぐれも無茶をせず、己のできる能力の限界を少しずつ広げていくことをして下さい。
孫子は、ありきたりの投資本を読むよりも、投資の本質に関して多くの示唆を得ることができます。多くの訳本が気軽に手に入れることができるので、ぜひ一度読まれることをお勧めします。(執筆者:国府 勇太)