目次
1. がん保険の加入者は増加傾向
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日本では、男性の2人に1人、女性の3人に1人がかかるといわれている、がん。
健康保険が使えない治療になる可能性が、他の病気よりも高いということもあり、がん保険加入者は増加傾向だ。
民間の生命保険会社やJA(農協)、生協・全労済で取り扱っている「ガン保険・ガン特約」の加入率は37.3%(平成25年)平成22年に比べて、4.2ポイントアップしている状況。
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死亡保険や医療保険の内容は、保険会社によってそれほど差はない(当然、差別化を図った特徴ある商品はある)。
しかし、がん保険の場合、汎用型の商品設計がなく、各社独自色を出し、熾烈な顧客獲得競争を繰り広げているのが現状だ。
それだけに、商品内容や給付対象になる条件などをよく理解し、自分に合ったがん保障を選びたい。
2. がん保険の保障内容
がん保険の基本となる給付は、
・入院の日額給付
・手術給付
診断一時金は、がんと診断された場合に契約時に設定した保険金額(例:100万円)を受取る。
更に治療に入ると、入院日数に応じて契約時に設定した日額給付(例:10,000円など)や手術給付(例:20万円)を受け取る。
これらの基本給付以外に、
・通院時の日額給付
・先進医療給付
・抗がん剤や放射線、ホルモン剤等の治療に対しての月額給付
・女性特定手術給付
・緩和療養の月額給付
などを特約で付加できる。
3. がん治療の変化にがん保険も対応してきている
給付の種類が多岐にわたるのは、がんの治療法が変化してきたことが背景にある。
以前は、がんの治療と言えば、入院をし手術をする。症状がよくなるまで入院が続くというのが一般的。
ところが、最近は、
・入院前や退院後、通院で抗がん剤治療を行う
などのケースが増えてきている。
入院を前提にしたがん保険だと、現状のがん治療の実態とはかけ離れた内容になってきているのだ。
このため最近では、入院を前提としないがん保険や、放射線治療や抗がん剤治療を含めた通院治療をメインにした商品設計のがん保険が出てきている。
がん保険の保障内容が多様化する中で、契約する際に注意しておきたいのは、どのような給付を優先するかを自分で考えて、ある程度絞り込むことだ。
保険会社や保険代理店の募集人は、複数の給付をセットして勧誘するケースが多く、その分保険料が高くなりがちである。
そこで、私がおすすめするのは「がん診断一時金」を重視するプラン。
なぜならば、診断された時に一時金が出れば、様々な治療方法を選択することが可能であるし、それ以外の用途にも使えるからだ。
そんな顧客ニーズに答えるかのように、7月から販売が始まった東京海上日動あんしん生命の「がん診断保険R」は、がん診断一時金のみで契約することができ、70歳時点でがんにならなければ、今まで払ってきた保険料全額が戻ってくる。
4. 必要な給付と保険料のバランスを考えて保険を選ぶことがポイントだ
がん治療も健康保険が適用できる治療の方が圧倒的に多い。またその場合、治療費が高額なることもないわけだ。
一方で、現役時代にがんになった場合、仕事ができなくなるリスクもある。
家族構成や家計状況、自分の年齢などを勘案して、必要な給付と保険料のバランスを考えて、がん保険の加入や見直しを考えることが必要だ。(執筆者:釜口 博)