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海外旅行に行くので保険に加入したいとご依頼を受けました。
私:クレジットカードはお持ちですか?
Aさん:もちろん持ってますよ。
私:クレジットカードには、海外・国内旅行保険が自動的に付いているカードが多いのですが、Aさんがお持ちのカードはどちらになります?
Aさん:○○カードのゴールドです。
私:ちょっとお待ちください。このカードに付いている保険を調べてみますね。
「○○カード」 「付帯」 「保険」のキーワードで検索してみますと……
死亡保障1億の他、治療費用300万 賠償責任4,000万 携行品50万 救援者費用400万
かなり充実した保障が付いていますね。
Aさん:えっ!? 特に契約した覚えは無いんだけど、どういうこと?
私:クレジットカードといってもいろいろなカードがあります。よく利用するお店の提携カードでポイントを貯めることが出来たり、付帯サービスが充実しているカードを選ぶことも多いでしょう。そんな、付帯サービスに保険が含まれていることも多いのです。
気をつけたい「自動付帯」と「利用付帯」
自動付帯であれば、持っているだけで適用となるのですが、利用付帯となっているカードは、旅行中のお買い物などや旅行代金をカードを利用することが前提となっています。現金や他のカードで決済してしまうと、利用付帯のカードは効力が発揮されませんので注意しましょう。
私:Aさんのカードは自動付帯になっているので、持っているだけで保障が受けられるタイプですね。
Aさん:ということは、わざわざ加入しなくても大丈夫ってこと?
私:カードについている保障内容で、ここはちょっとと思われるところはありますか?
Aさん:これで十分というか、十分すぎるくらい。
私:では、別途旅行保険に加入しなくても大丈夫ということになります。
ということで、せっかくのビジネスチャンスを逸してしまったようにみえますが、保険の取扱者としては、重複保険となることを防げました。
複数の保険に加入していると、保障がダブっていることがあります。生命保険や、医療保険は、給付の事象が発生すれば保険金が受け取れます。よくあるのが、医療保険とがん保険に加入している場合。普通の病気のときは、医療保険からしか出ませんが、がんのときは、医療保険とがん保険の両方からダブルで受け取れます。
一方、損害保険では、損害額に対する補てんをする保険なので、損害額以上の保険金を受け取ることはできません。火災保険で評価額1,000万円の家に、複数の保険会社で1,000万円ずつ合計2,000万円の保険に入って、ダブルで受け取って「焼け太り」となることが無いように、保険法で規定されています。
*保険のダブリは保険料のムダ
重複保険となる契約は、お客様にとってメリットとならないばかりか、余計な保険料を払っていることになります。特に多く見受けられるのが、火災保険と自動車保険の両方で賠償責任保険を特約で付けている場合です。カードの自動付帯サービスのように、自動的に付いている特約などもありますので、加入している保険の証券を見てどんな特約が付いているのか確認してみましょう。複数の保険に加入している場合は、突き合せてみるとダブっているものが見つかるかもしれませんよ。
以上です。(執筆者:京増 恵太郎)