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大きな株価変動が!
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ご存知と思われますが、8月中旬から下旬にかけ、世界中の株式市場が大暴落(その後は一部暴騰)しました。
「ギリシャ問題」、「中国上海株問題」、「アメリカ利上げ」を要因とした6月・7月の大揺れマーケットもなんとか落ち着き…と思っていた矢先のより大きな波でした。
今回の暴落を引き起こした要因は「中国不審、中国不振、中国不信」そして「心の底にあるアメリカ利上げへの心配」であると考えています。市場がすでに割高であったとも言えますが、異常なほどではなかったので、ある程度影響した? くらいでしょうか。
中国不審
7月の上海株暴落は党支配により経済が歪められてきた影響が表面化した状態だったのでしょう。今回は歪められたものに、8月11日に実施された「突如の元切り下げ」が追加されました。
よい方向に考えると、市場の実勢を反映させる元国際化の一歩とも言えますが、本質はそんなによいものではないでしょう。中国の自分勝手な行動と言えます。不審が下落のきっかけとなったと言えます。
特に「突如行ったこと」、「一度きりと言いながら、翌日も行ったこと」などのやり方は我侭以外にありません。実際、新興国通貨などには大きな影響がありました。国際化を求めるのであれば、また世界の中心に立ちたいのであれば、自分たちのやり方をゴリ押しすることはかえって逆効果です。今回の行動は「中国不審」をより印象付けただけでしょう。
中国不振
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7月の自動車販売台数が前年同月比で-6.58%。21日発表の8月の財新製造業PMI速報値が47.1(前月47.8、市場予想48.2、その後47.3に改定)などの経済指標が発表され中国経済の不振が明らかになりました。
発電量や鉄道輸送量などは、直近では3月頃がもっとも悪化していたのでいまさら感はありますが、不振が明らかになったことで、中国経済不振→世界経済への悪影響→全世界の株価悪化との流れが強まりました。
以降も、国家統計局製造業PMIが49.7と製造業活動拡大、縮小の目安となる50を下回る。非製造業PMIは53.4で7月の53.9から低下。需要動向を示す8月新規受注指数は49.7で7月の49.9から低下。8月新規輸出受注指数は47.7で7月の47.9から低下し2014年10月から11ヵ月連続で50を下回ることに。
などなど不振を示す指標は後を絶ちません。
中国不信
中国は「公表される統計数値が信頼できない。」
従来から言われ続けていますが、8月12日の天津大爆発。およびこれに伴う徹底的な隠蔽が、中国不信を決定的にしたのではないかと考えます。不信は不振と違い後々まで影響する大きな問題です。
不振はそのうちに脱することが可能です。特に経済対策や金融政策の余地が大きく残されている中国は、不健全であったとしても当面の不振から立ち直ることか十分可能でしょう。所得上昇が顕著な世代が莫大な数であることから生まれる内需の拡大も不振脱却を後押しすると考えられます。
しかし、不信は直ぐには脱却できません。どんな良い政策を行っても、どんな良いことを言っても、どうせ…と思われるとその影響は計り知れないものとなります。株式投資においても同様です。発表される数値が不信である限り、健全な投資資金が集まるとは考えられません。本質的な価値は二の次である目先の株価だけを追いかけるマネーゲームが繰り広げられるだけです。
今後の行方
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中国の金融は世界と切り離されているため、リーマンショックの再来はないと考えます。しかし、中国不振が世界経済に影響することによる大幅な株価下落懸念は残されています。ここに不審感、不信感が加わると必要以上の下落となる可能性もあります。
株式相場に大きな変動は付きものです。少々の変動とはうまく付き合っていくしかないのですが、大暴落時はキャッシュ比率を高めていたいものです。この差は世界の実態経済への悪影響の広がりがあるのかないのかです。
残念ですが、中国以外の経済指標や個別企業の業績予想からも目が離せない、ビクビクしながら投資する環境になってしまったと言えるでしょう。(執筆者:山副 耕一)