株式売買で銘柄選びを行う際に、信用残を参考にする方法があります。信用残とは、信用取引における買い残と売り残のことですが、その増減を見ることである程度の株価の動向を予測することができます。
目次
信用取引とは
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株式の売買は通常、現金で購入した後に売却して損益を確定することになります。それに対して信用取引は現金を直接使わずに証拠金として預けて、その資金の3倍のレバレッジを効かせた取引を行うものとなります。
しかも購入だけではなく、株式を借りて売り建てを行うこともできます。この場合、株価が下落することで安く買い戻し、利益を得るものとなります。そしてその買い残が増えれば強気の投資家が多く、売り残が多ければ弱気の投資家が多い目安となります。
信用残の利用方法
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実は信用取引の参考になる部分は、6か月以内に決済を行う必要があるところにあります
。
信用買いは6か月以内に売却しなければならないわけですし、売りも同様に買い戻す必要があります。つまり、売り残が増えるということは弱気筋が多いと同時に、その買い戻しのための上昇圧力も予測されることになります。
それぞれの企業の信用取引の信用残における信用倍率は、日本経済新聞のサイトで確認することができます。
それでは幾つかの銘柄の信用残を元にした動きの予測をしてみます。
【5801】古河電気工業
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信用残の信用倍率を見ると
減少傾向にあることがわかります。つまり売り残に対して買い残が減少しているということで、
強気筋が減少していることがわかります。
けれども株価の動きを見ると、10月30日終値216円、11日4日に206円の安値をつけて11月13日247円と上昇しています。これは株価の強さを表すものです。また、売り残の多さは将来の買い戻し圧力をも予測させることになります。
【5406】神戸製鋼所
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こちらは古川電気工事とは逆のパターンです。信用売りが減少していますが、株価の動きは11月6日終値143円、11月10日147円をつけて11月13日142円と下げています。株価の弱さを感じさせるものです。
このように信用取引の状況を見ることで、需給関係からこれからの株価の動きや強弱感も汲み取れるようになります。
最後に要チェックの銘柄を挙げてみます。
【6703】沖電気
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信用倍率は下げてきています。つまり弱気筋が増えている状態です。株価は素直に反応しています。11月5日終値171円、11月12日152円、11月13日154円と下げてきています。
注目点は、信用売り残が増えていることによる買い戻し圧力による上昇期待です。これからの動きを見てみると参考になると思います。(執筆者:田畑 允彦)