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子育て先進国のフランスに住んでいるからか、フランスの子育てや共働きに関するお問合せをいただくことが増えてきました。
働くママの割合においては後進国の日本ですが、経済成長のために、少子化対策、女性の活用促進による労働力確保の進行に努めているのは、日本人として、働くママとして嬉しく思います。
今年の4月に発足した「すくすくジャパン」。子育て先進国のフランスに追い着き、追い越せるようなるためには、政府の努力のみならず、みんなが制度を理解して、上手く活用していくことが大切でしょう。
すくすくジャパンとして実施されている「子ども・子育て支援新制度」について、フランスの子育て支援制度と比べながら解説していきたいと思います。
目次
「子ども・子育て支援新制度」について
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この制度の主目的は、支援の量を拡充させること。待機児童の解消に向け、教育・保育の受け皿を増やす試みです。従来の「幼稚園」、「保育所」に加え、「認定こども園」の普及を図るとともに、「地域型保育」を新たに設定しています。
「認定こども園」とは、幼稚園と保育所の機能や特長をあわせ持ち、地域の子育て支援も行う施設です。
0歳~2歳の子供の受け入れに対しては、共働き世帯や親の介護等により家庭で保育できないことを自治体に認定される必要がありますが、3歳~5歳の子供に関しては親の就労に関係なく、教育・保育を一緒に受けることができる施設です。3歳以上の子供は、幼稚園として4時間程度の教育の時間、それ以降は必要に応じ、夕方頃まで保育の時間となります。
フランスでは0歳~5歳までの子供が一緒に通う、教育・保育一体型の施設はありません。「認定こども園」は世界の先を行く子育て支援施設になるかもしれませんね。
フランスで多く利用されている保育ママ
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幼稚園に通う前の子供達を預ける支援策として、フランスで多く利用されているのが保育ママ。
保育ママになるためには保育士の資格を取得するなど、自治体が定める一定用件を満たす必要があること、1人の保育ママが一度に預かれる子供の人数は3人までと少人数で目が届きやすいなどの理由で、保育所ではなく敢えて保育ママを選ぶ人も多くいます。
「子ども・子育て支援新制度」のなかの「地域型保育」では、
「小規模保育」
「事業所内保育」
「居宅訪問型保育」
の4タイプがあります。いずれのタイプも利用には共働きや介護などで家庭で保育できないことを自治体に認定してもらう必要がありますが、乳幼児でも預かってくれる施設が増えることは、パパもママも安心して働けることに繋がりそうですね。
職場復帰のしやすさがポイント
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このように、待機児童の解消に向けた「すくすくジャパン」はまだ始まったばかりですが、一方で、厚生労働省の発表によると、平成27年4月1日時点で待機児童数は23,167人。前年よりも1,796人の増加です。
自分の子供が待機児童である家庭では、ママが働けない場合が多く、仕事を辞めるか育児休暇を取るなどの選択を迫られてしまいます。
日本では法律で認められている育児休暇は「子供が1歳に達するまで(一定要件を満たせば1歳6か月)」で、育児施設に入れられなければ職場復帰は難しくなります。
フランスも同様に子供が1歳に達するまでですが、最高2回の延長が可能で、最長子供が3歳に達するまで育児休暇の権利があることになります。
もちろん育児休暇中の収入保障はありませんが、復帰後は同じポスト、もしくは同等のポストに復帰できるようになっていることも、安心して休暇申請できる理由のひとつでしょう。
子育て仕事を両立することは、子育て先進国に住むフランス人にとっても努力が必要です。しかし、夫婦の協力、国や自治体の支援制度があってこそ頑張れるに違いありません。
日本でもすくすくジャパンが進行するためには、まだまだ改善の余地もあるのではないかと思いますが、実際に子供を持つ親達が、ファミリーサポートセンターや子育てサークルなどに参加して、より様々なニーズを上げていくことも必要なのではないかと思います。(執筆者:續 恵美子)