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生命保険は厚生労働省の「生命表」を元につくられる
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死亡する確率は国が正確な統計を取っているため、簡単に知ることができる。 それは、厚生労働省が作成している「生命表」だ。この「生命表」は数年に一度しか更新されないもので、直近では平成26年に更新。
生命保険会社はこの「生命表」を改良した「生保標準生命表」を使い、死亡確率を計算して保険料を設定したり新商品を作ったりしている。
実は、この「生保標準生命表」、一般の方は見ることはできない。また保険募集人でさえ見ることはできないのだ。
だが、厚生労働省の「生命表」を見れば、日本人の死亡確率から 保険会社の儲けのしくみを知ることができる。
平均余命が基準
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日本人の平均余命から日本人の
平均寿命は、
女性:86.83年(≒87歳)
これは、生まれた赤ちゃんが何歳まで生きるのかを 平均した場合の数値。
生命保険会社が死亡保険の保険料などを算出する際に一番重要視しているのが、「平均余命」だ。
30歳女性の平均余命は57.32年、50歳なら37.96年
このデータから分かることは、長く生きれば生きるほど、平均寿命よりも長く生きるということになる。
実際に保険会社の利益はどれくらいあるのか?
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ではこの生命表を使って、保険会社の儲けのしくみを暴いていくとしよう。
22歳の男性。新入社員として大手のメーカーに入社。
生保レディーの勧誘に負けて、10年更新型で5000万円の死亡保障がついた特約付き利率変動型積立終身保険に加入。
保険料月々1万3000円
10年間に入院・手術がないという前提の試算をしてみる。
22歳男性の生存数は1000人中994人、一方32歳の生存数は988人。
10年間の間に死亡者は1000人中6人。10年間の死亡確率は0.6%。
10年間で0.6%の死亡確率に対して10年間の支払保険料が156万円。
5000万円×0.6%=30万円 156万円-30万円=126万円。
保険募集人に払う手数料合計は約37万円ほど。
保険会社の利益は、126万円-約37万円≒84万円/人
10年更新型の上記保険の場合、10年後(32歳)に保険料が1.3倍ほどアップするので、保険会社は更に利益が積み上がるしくみだ。
生保募集人が新入社員に保険の営業をかけて、訳が分からないうちに契約させてしまうと、保険会社はぼろ儲け状態なのだ。
30歳男性。結婚を機に保険金額3000万円、 60歳までの定期保険に加入しようと考え保険ショップを訪れる。
30歳男性の生存数は1000人中989人、60歳では924人。
30年間で死亡者が65人、死亡確率は6.5%
3000万円×6.5%=195万円
それに対しての保険料が月々7860円(某外資系保険会社)
30年間で約283万円。 約283万円-195万円=約88万円
保険販売人に払う手数料合計は約10万円。
保険会社の利益は、約88万円-約10万円=約78万円/人
死亡する確率が1割未満までの年齢(男性の場合63歳まで)の生命保険は、保険会社にとってはまさにドル箱。
掛け捨てになる可能性が高い保険を加入する場合は、本当にその保障が必要なのかをしっかりと吟味してから選択いていただきたい。(執筆者:釜口 博)