日本では、「妻」が家のお財布を握っているという家庭が、全体の約50%以上を占めていると言われています。(2015年4月マイナビニュース調べ)
日々の生活において、妻が家計簿をつけたり、ポイントカードを集めたりと、節約に励むことも大切ですが、家計を握る妻こそ資産運用を始めて、家のお金を効率良く育てていくことに意識を向けることが重要です。
女性の中には、資産運用への苦手意識が高く、なかなか第一歩が踏み出せない方もいるかもしれません。
しかし、アメリカでは、実は女性は男性に比べ、資産運用において優れたパフォーマンスを出しているという調査結果があるのです。
今回は、いくつかのアメリカの文献を参考にしながら、男女の資産運用の特徴をご紹介しましょう。

女性の方が運用パフォーマンスが良いという事実
アメリカのカリフォルニア州立大バークレー校のテレンス・オーディーン氏は、約6年間にわたって3万5千件を超える顧客を対象に資産運用における男女のパフォーマンスの違いについて調査を行いました。
そして2001年に男性よりも女性の方が資産運用のパフォーマンスが優れていたという事実を発表したのです。
調査によると、男性は女性よりも頻繁に金融商品の売買を行うため、取引コストがかさみ、結果的に、女性の運用成績が男性よりも年率1.4%良かったと報告しています。
さらに、独身の顧客の場合は、女性の方が男性よりも平均年率2.3%も運用成績が良かったという結果になりました。
また、2010年New York Times に掲載された記事によると、2008年から2009年のリーマンショックが起きた際に、男性の方が女性よりも、低い価格で株を売却してしまっていたという事実が判明しました。
先の調査を行ったテレンス・オーディーン氏らは、このような資産運用パフォーマンスの男女差を「行動経済学(行動ファイナンス)」によって分析しています。
行動経済学とは、人間は感情に左右されるため、必ずしも合理的な行動をとる(合理的経済人である)とは限らないという立場から、人の選択や判断を究明する学問です。
この分野において、一般的に、女性よりも男性の方が、自分の判断に自信を持ち過ぎる「自信過剰」の傾向があるとされています。
さらに競争原理から、男性は女性よりリスクを積極的にとる(リスク愛好家)とも言われています。
運用パフォーマンスの良し悪しは、個々人の投資経験や金融リテラシーなど様々な要因が影響するため、女性の方が男性よりも資産運用に向いているとは断定できません。
しかし少なくとも、女性だからといって、男性に比べて運用益が少ない、または大損をしてしまうというわけではないということが理解できますね。
資産運用の方法に男女差はない

資産運用において、男性であっても女性であっても、若者であっても高齢者であっても、そのやり方に大きな違いはありません。
私たち一般投資家にとって資産運用は、自分のライフプランやいくらまで損をしても大丈夫かというリスク許容度に照らし合わせて、金融商品のポートフォリオを決め、その後はゆっくりお金を育てていく運用スタイルが基本。
日々の株価や経済情勢に一喜一憂し、頻繁に取引を繰り返しても、取引コストがかさむだけで、儲かる保障はどこにもないのです。
ゼロ金利に突入した日本では、普通預金や定期預金でお金を眠らせていても、お金は増えてはくれません。
家のお財布を管理する妻は、毎日の節約だけに目を配るのではなく、このゼロ金利という日本の現状を理解し、資産運用の必要性について認識を持つことが大切です。
そして夫婦で協力し、家庭のライフプランの見直しや、リスク許容度を確認し、家の貯金の中から、どのくらいのお金を資産運用に回すことができるかを判断しましょう。
一定条件のもと非課税で資産運用ができるNISA制度や、確定拠出年金を利用するのもポイントですね。
たとえ女性であっても、資産運用に苦手意識を持たず、むしろ女性であることに自信を持って、資産運用に取り組んでみてはいかがでしょうか。(執筆者:下中 英恵)