日銀がマイナス金利を発表してから、2か月近くが経ちました。
マイナス金利の身近な影響とは? 個人の視点で、まとめてみます。
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目次
現預金や証券会社のMMFはどうなる?
元本を確保しておきたい性格のお金は、現金・預金やMMF等の元本確保性の高い証券として保有されます。
こうしたお金は利回りの高さよりも「元本割れしないか」が重視されますので、マイナス金利で元本割れの可能性がある場合、繰上償還したり、商品の販売自体がなくなります。
実際、マイナス金利発表直後からMMF等は新規販売が停止され、繰上げ償還も相次ぎました。これは、短期国債の利回りがマイナスになってしまうと今後元本を確保することが困難になるからです。
ただし金融庁も問題は認識しており、MRFでは現金等の保有比率を高め元本保証しやすい環境にしています。そのため、証券会社の現金の置き場所としてのMRFは、今後も引き続き取引可能と考えられます。
預金についても、直ちにマイナス金利が適用されるようなことはないと考えられます。
銀行も個人の預金は元本保証が大切なことは理解していて、マイナス金利の適用を発表したとたん、一斉に資金が引き揚げられることを心配しているからです。
とはいえ、ここも将来にわたって安全とはいえません。
確かに利回りはマイナスではなく、かろうじてプラスかもしれませんが、様々な場面で「手数料」を取られる可能性があるからです。
例えば、本記事執筆時点での都銀の普通預金金利は0.001%、定期預金であってもわずか0.01%です。
例えば100万円を普通預金口座に預けておくと、1年間で(わずか)10円の利息がつきます。ここから源泉徴収税が引かれますから、実際にはたったの8円ほど。
一方、とある都銀の振込手数料は108円から864円。
なんと利息の13倍~100倍以上の手数料ですから、何気なく手数料を払っているのであれば事実上のマイナス金利状態と言って良いかもしれません。
ネットバンキングやキャッシュカードなら手数料ゼロだから安心かもしれませんが、少し気を抜いていると時間外手数料を取られてしまう場合もあります。
また、日本では馴染みの薄い「口座維持手数料」というものがあります。
マイナス金利が長期化し、銀行の収益を圧迫するようになれば今後口座維持手数料を検討する銀行が出てくるかもしれません。
銀行預金は預金保険機構により1行1,000万円まで元本保証されていますので、タンス預金よりは安全ですが(だから急いで金庫を買いに行く必要はありませんよ!)銀行もそれなりのコストがかかっていることは理解しておいていいと思います。
銀行もビジネスですから、当たり前といえば当たり前の話です。
住宅ローンの借り換え
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今現在住宅ローンを抱えている人で、住宅ローンの借り換えを検討している人は多いと思います。
実際、マイナス金利導入以降、借り換え件数は飛躍的に増加しているようです。
「借り換えをすべきかどうか?」は、「トータルの支払い金額が減る」なら当然借り換えしてもいいと思います。
住宅ローンの借り換えは、新規の住宅ローンの借入金で旧ローンを一括返済する手続きになります。
新規ローンの利息だけでなく、登記の変更など借り換え時に様々な手数料がかかってきますので単に借り入れ金利が低いからという理由だけで借り換えをするわけにはいきません。この辺のコストの詳細は、住宅ローンに詳しいFPに一度相談するのがよいでしょう。
一つだけ注意したいのは「借り換え」と「新規借り入れ」は全然違う、ということです。
借り換えは既にあるリスクを低くするために行いますので、入念な準備が必要だとはいえ、基本的にやっていいものです。
しかし新規の住宅ローン借入は、今もっていないリスクをあらたに抱えることですので、いかに金利が低かろうと、新規借り入れは慎重に検討するべきなのです。
まとめ
マイナス金利の影響が少しつづ見えてきている今、個人が知っておくべき現状についてまとめてみました。
マイナス金利は日本では初めての金融政策になります。
今後まだまだどうなっていくか不明な点も多いので、しっかりとアンテナをはっておきましょう。(執筆者:林 健太郎)