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育児を楽しむ普通のパパがベストセラー作家に
今、最も勢いがある作家のひとりである本田健さん。
代表作「ユダヤ人大富豪の教え」をはじめとした日本発売の著作シリーズは累計700万部を突破。KenHondaとして全米デビューを果たしたジャネット・アットウッドさんとの共著『Maro Up!』はアマゾン電子書籍の自己啓発部門で全米第1位に。
そんな本田さんの作家としての原点は、娘さんの誕生をきっかけに30代前半で始めた育児セミリタイア生活の頃だとか。
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あなたが「お金の心地いい側面」を感じた時の話を聞かせて下さい!
「大好きな本に囲まれた空間」にお金を払う
―30代で育児セミリタイアというのは、どういうことですか?
30代前半の頃には、経営コンサルティング会社、会計事務所、ベンチャーキャピタル会社など、複数のビジネスを所有していました。
つまり、自分が動かなくても自動的にお金が入ってくる仕組みを30代前半までに作れたということです。
30代に入って一人娘が生まれた時に、奥さんに「休みとってくれるよね?」と言われたのがきっかけで、育児セミリタイア生活を始めました。
―30代前半の男性で、やっていることは主に育児。暇を持て余しませんか?
時間の余裕はありましたよ。「だったら、好きなことをやろう」と思って、考えついたのが「今まで買った本を全部並べてみたらどうかな?」ということ。
昔から本を読むのは大好きで、沢山の本を購入して読んできましたが、満足な収納場所がありませんでした。倉庫に預けたりもしましたが、ついつい同じ本を買ってしまったりもしていました。
いつか自分が持っている本を全部、背表紙が見えるようなかたちでズラーっと眺められるようにしたいと思っていたので、そのためだけに部屋を借りました。
本を眺めていたら、文章を書きたくなった
―大好きな本に囲まれた生活。いいですね。
その部屋に机を置いて、大好きな本が並んでいるのをじーっと眺めて、ひとりでニヤニヤしたりしていたんです(笑)。そのうちに机で本の感想文みたいのを書き始めました。
そしたら、その感想文に自分の考えも織り交ぜたくなって、文章自体にメッセージ性が出てきて、ふと、「これを人に配って読んでもらったらどうかな?」と思ったわけです。
―そう思うのって、すごいですよね。
作家は、お節介じゃないとできない職業です。「そっちじゃなくて、こっちがいいよ!」と言う仕事なので(笑)。
それで、自分が書いた文章を輪転機で印刷して、ホチキス止めして知人に配ってみたら、意外と評判が良かったんです。
それから小冊子が口コミで広まったようで、「欲しい」という人がどんどん出てきました。
「配れるところまで配ろう」と腹を括る
―印刷してホチキスで止める。数が多くなると、大変な作業ですよね?
自分で印刷してホチキス止めをするのに限界を感じて、印刷業者に頼んで製本した小冊子を作ることにしました。最初は3千部ぐらいを作ろうと思いました。
でも、業者の「どうせ版下を作るなら、3千部も5千部も料金はほとんど変わりません。
もし次にもう一度3千部刷ることになったら、再度、お金がかかりますよ」という営業トークに乗せられて、予定していたより多く作ったのですが、それも全部はけてしまい、更に注文がきました。
―「注文」って言っても、無料で配っているんですよね?
そうそう(笑)。経費は全部自分持ちだから、完全に赤字です。その頃になったら、「配れるところまで配ろう」と、腹を括るような気持ちが出てきました。
新聞の片隅に「無料の小冊子を配りすぎて倒産」とかっていう記事が載っていたら面白いかなとも考えました。
初めて出版の話がきた時は、断った
―面白いかもしれませんが、自分は大変ですよね?
ちょうどその頃、投資していた事業が軌道にのったこともあり、お金の流れがあったので、小冊子を配り続けることができました。そしたら、ある時点で出版の話がきたんです。
―いよいよ、ですね!
最初はオファーを断りました。本を出す人、つまり作家なんて、自分とは全然関係のない世界の人間だと思っていましたから。
学生時代、国語の成績も普通でしたし、自分が作家になるなんて考えてもいなかったので「そんなの絶対無理です」と頑なに辞退していました。
―え、そうなんですか?
結局、本は出すことになったんです。出版が決まった後も、「肩書きは何にしよう? 幸せなパパって書いてもらおうかな?」とか思っている、みたいな感じでした。
でも不思議なことに1冊目の本が出来上がった時、頭の中に3冊分くらいの本の構想が既にピシっとありました。(執筆者:楢戸 ひかる)