スマホでニュースやwebサイトを見ていると突如現れる全画面の広告。邪魔だなぁと思いつつも消した経験があるでしょう。
はっきりいって邪魔な広告を出してくる企業の製品を買おうとは思いません。ページの上下に小さく表示されるくらいであれば許容範囲ですが、「広告を消す」という作業が必要な広告は逆効果ですよね。
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目次
全画面広告に効果はない
2015年7月23日にGoogleが発表した調査結果を見ると、案の定全画面広告に効果はなかったようです。
この調査で対象になったのは「インタースティシャル広告」と呼ばれる、全画面タイプの広告です。
この調査によると広告を見たユーザーが広告をクリックする割合は9%。
もちろんコンテンツと広告の関連性やそのwebページに訪れるユーザー層にも左右されるでしょうが、たった9%しかクリックされません。
むしろ全画面広告は消そうとしてクリックすることが多々あるので、本来のクリック率はさらに下がるのではないでしょうか。
そして広告を出す側だけではなく、広告を掲載しているwebサイト側にも影響があり、なんと広告を見たユーザーの69%は見ようとしていたコンテンツを放棄したそうです。
つまりコンテンツを見ようとして全画面広告が出てきたので、戻るボタンを押したのでしょう。
さらに興味深いのが、全画面広告の代わりに一般的なバナー広告を表示させるとwebサイトのアクティブユーザー数が17%も増加した点です。
全画面広告は完全に無駄、どころか逆効果であることが立証された結果になりました。
全画面広告は180万円
全画面広告の詳しい費用はわかりませんが、キュレーションで有名な「グノシー」のスワイプタイプの全画面広告は180万円となっています。
そのため強制的に表示させる全画面広告も似たような値段であることが推測できます。
180万円払って逆効果ってどうなのでしょうか。
もちろん全画面広告すべてがダメなわけではありません。
アプリケーションに全画面広告を挿入する場合には、アプリ終了時に表示させることで操作性を損なわずに表示する手法が頻繁に使われています。
とはいってもwebサイトの全画面広告の行く末はあまり明るくありません。
ページビューに大きく関係するGoogleの検索ですが、Googleの検索は評価の高いwebサイトほど上位に表示される仕組みです。
しかしGoogleは全画面広告を表示するwebサイトを「モバイルフレンドリーではない」としてページの評価を下げる対策を2015年11月1日に実施しました。
つまり今後webサイトに全画面広告を掲載している場合、現在の検索結果よりも低く表示される可能性が高いわけです。
広告主にはあまり影響がないかもしれませんが、webサイトの運営側には由々しき事態でしょう。
web広告はどうあるべき?
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web広告は意外と進化していません。いまだにバナー広告が主流であることがその証拠でしょう。
もちろんバナー広告にも色々な工夫があり、スクロールと連動するものや変わった動きのあるバナー広告なども登場しています。しかしページの一部に固定された広告という根本は変化していませんよね。
現在問題になっている全画面広告も登場した当初は効果があると話題になりました。
しかし結果はご覧の通り。
ユーザーのことを考えない広告は失敗するということですね。
つまり様々な広告が登場する中でバナー広告が生き残っているのにはそれなりの理由があった、ということでしょう。
今後はヘッドマウントディスプレイやメガネ型、腕時計型など新しいデバイスが登場してくるはずです。
それらのデバイスにどのように広告が挿入されるのか、非常に気になりますね。
ただ、いちユーザーとしては操作を妨げない広告であることを願うばかりです。(執筆者:小野 雄吾)