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マイナス金利政策から4か月…
日銀がマイナス金利政策を初めて、はや4か月以上が過ぎました。5月連休後からこのコラムに取りかかりましたが、出来上がり時には予想もしなかったイギリスがEUからの離脱が国民投票で決まりました。
少しずつ円高傾向や株安傾向などもちらついていましたが、この問題が出てから世界のマーケットは大きく揺れ始めました。
日本では一時100円を切る円高になり、株式も日経平均で1,300円ぐらい一気に値下がりしました。今後の動きは、今の時点で予想は難しいですが、当面は円高と株安で推移するのではないかと感じられます。
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マイナス金利の導入目的
そんな大きな金融市場の状況ですが、日本でのマイナス金利政策は、新しい金融政策で世の中のあらゆる金利を引き下げて、世の中にお金が流れることで、経済を活性化させようとする目的で導入されました。
具体的には、借り入れ金利が大きく下がれば、一般の私達がマイホームを建てるときに利用する住宅ローンが有利に利用出来やすくなったり、マイカーを購入する時に利用するマイカーローンが借りやすくなります。
それ以前に、大きな物でもローンでも組んで欲しくなる可能性の消費マインドが高くなります。企業も金利が低い方が投資しやすくなるはずです。
マイナス金利には「メリット」と「デメリット」が共存している
少し詳しく考えて見ましょう。上記で触れた通り、マイナス金利政策の恩恵が及ぶのは、マイホームやマイカーを購入するときに利用するローン金利の引き下げ効果によることが、大きなメリットとして享受出来ます。
しかし、現実の経済動向は、机上論通りには進んでいないようです。住宅ローン金利が下がることのメリットが大きいのですが、新規で借り入れは前年3月と比較して2割増加程度のようです。
大きく延びたのは、現在ローンを返済中の方々が、今まで以上に低いローンへの借り換えを行う事による家計の軽量化を図り、前年同期と比べ3.7倍も急増したようです。
もう一方の中小企業への融資は、銀行が利益の縮小を嫌って金利をあまり下げず、企業の投資意欲は低調のようです。この事を裏付けるのが「お金を借りられない問題よりも仕事が増えない悩みが大きい」との意見です。
このようにマイナス金利には、メリットとデメリットが共存しています。
言葉が、マイナスと付きますから、イメージ的に消費者マインドが上がりにくく、お金をストックする方向や節約思考がより強く働く方に向かうのではないでしょうか?
日本株価を支えるために、公的年金が使われていることも将来不安を助長しているのではないでしょうか?
資金は自分で管理するほうが得になる計算
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更に運用する方からマイナス金利を考えると、金利が0.01%で100万円を銀行に預けたとすれば、1年間で利息は100円です。正確に言えば、税引き後は80円となります。
1回でも時間外で引き出すとATMの取り扱い手数料より少ないです。数回時間外に引き出すと、完全に元本割れを起こして実質マイナス金利で運用しているのではないでしょうか。
この事はマイナス金利が導入される前からの低金利政策時代から発生しています。年間にその様な事が何回もあれば、自分で金庫を購入して管理する方が得する計算になります。
自分で管理すれば、マイナスになることは考えにくいように思えるからです。
そして、今回のEU離脱問題では金(ゴールド)の運用が注目され、値が上がっているようです。
されど、マイナス金利の最大メリットは、お金を貸してもらい年収の何倍ものマイホームなどの大きな買い物の時の低金利が最大のメリットとなるはずです。
今までのローン金利だと、月々の返済が大変で購入を先のばしにしている人も有ったかもしれません。しかし、今回のマイナス金利で手が届きそうと感じる人は多いと思います。
ライフプランのチェックポイント
ここから、ライフプランにおけるストレスチェックについてお伝えします。
ストレスチェックとは本来は耐久性のことなどを指します。例えば…
などのように用いるのが一般的だと思います。
ここでの、ストレスチェックはライフプランでの家族イベントを時系列に並べ、そこでのお金の出入りをチェックするキャッシュフロー作成時に用います。非常に重要なチェックとなります。
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チェックポイント
・ 結婚して、何年後にマイホームを持つのか、人口減少を考えて賃貸がよいのか。
・ 住宅ローンは退職までに完済出来るのか。
・ 子供の教育方針や教育費について、塾や習い事はどのようにするのか。
・ 大学の費用は教育ローンを組むのか奨学金を利用してもらうか。
・ 生命保険や医療保険は社会保障の公的制度と、どのように組み合わせしたらいいのか。
・ 介護の問題はどのようにしたらよいか。
・ 老後資金の準備はどのくらい必要になるか
・ 「下流老人」「老後破綻」への不安。
様々なパターンを想定して試算するのが大切です
以上の様々な想定できる事由が有ります。何パターンか試算して見ることが大切です。将来の人生は机上論だけでは計り知れないことばかりです。大きな壁が幾つもあるかも知れません。
大きく変化する事も可能性としては十分あることを想定しながら、その様なときには軌道修正が可能かどうかまでしっかりと考えなければなりません。
今の低金利だけでしかマネープランができない場合は、人生での幸せ感は決して一つの方向ばかりではない事も考慮するのも一考かも知れません。
現実的に今回のイギリスのEU離脱で世界経済の行方や日本の経済の方向や、それに関わる私たちの生活はどの様に変わり対応しなければならないのかを、経済や政治までも含めて今まで以上にアンテナを張り情報収集して自らが考えることが必要となってきました。(執筆者:古川 修一)