2016年6月末時点のデータになりますが、株主優待実施企業は上場企業全体の35%を超え、4年連続で過去最高数に達しました。
株主優待実施企業が増えれば個人投資家の選択肢が増えるだけでなく、マイナー企業が株主層を拡大するのにも役立ちます。
そんな株主優待を狙いとした株投資は人気を集めていますが、意外な落とし穴も。どんな落とし穴があるのか、その対策とは何か、見ていきたいと思います。

目次
馴染みやすい株主優待投資だが、落とし穴には十分注意を
株主優待とは、企業の株を買うことで年に1、2回企業から御礼品が送られてくる制度のこと。具体的に説明しなくても、読者のほとんどは既にご存知のことでしょう。
優待制度によって投資の敷居が低くなりつつある
上場企業のうち約1,300もの企業が株主優待制度を実施していることで、個人が投資を始める上での敷居が低くなりつつあるように思います。
特に今までの優待内容を変更し、持ち株数が少ない株主でも優待商品が受け取れるように改善する企業が増えてきていることは素直に喜んで良いのかと。
たとえば、ビールやその他飲料で有名なサッポロホールディングス(2501)は、単元株式数の変更に伴い100株保有の株主でも優待商品が貰えるよう変更しました。
1,000株未満:優待対象外
【変更後】
100株以上200株未満:(1)~(3)のいずれか一つ
(1) 350ml缶×4本のビール詰め合わせセット
(2) 1,000円相当の食品・飲料詰め合わせセット
(3) 寄付
執筆時点の株価は2,875円で単元株数は100株。
「約29万円で1,000円相当の優待商品」を利回りに直すと約0.34%と、お世辞にも高利回りとは言えませんが、それでも年に一度の 「プレゼント」 として貰ってみたいと思ってしまうのが優待の魅力でしょう。
株主優待変更や廃止には十分注意を
株主優待が個人投資家層を広げるのに貢献していることは間違いありませんが、優待変更や廃止といった落とし穴には十分注意しなければなりません。
今年7月、ヴィレッジヴァンガード(2769)が優待変更の発表を行い、株価が急落しました。
優待変更発表前の6月末には1,688円の高値をマーク。しかし、発表後の7月20には1,156円まで急落し、その差は500円以上です。
ヴィレッジヴァンガード(2769)の株主優待は1万円相当のお買い物券ですが、株価差益で-5万円になってしまったのであれば、1万円相当の買い物券をもらえても4万円の赤字になってしまいます。優待変更や廃止には十分注意しなければなりません。
しかし、どうやって注意するの? という疑問が沸き起こるかもしれませんが、そんなに難しい対策は必要ありません。初歩的な点に留意し株主優待投資をすれば良いのです。
株主優待投資で損しないための対策2つ
1. 赤字経営の優待銘柄は買わない
株主優待投資の前提ですが、経営状態が思わしくないまたは赤字経営の企業の株は買わないことです。そのような会社は優待設定をしていても経費削減のために、先ずは削減しやすい「優待」を切ってくることがほとんどです。
初めから赤字銘柄は買わない。この基本を徹底することで対策を立てられます。
2. 分散投資を心がける
また、可能な限り分散投資を心がけましょう。優待銘柄の多くは保有株式数が多い株主に割増で優待商品を贈呈しますが、一つの銘柄に偏った投資はリスクが大きくなります。
株主優待投資に限ったことではないのですが、分散投資は資産運用の大前提です。一つの銘柄に固執せず、複数の優待銘柄を狙ってトータルでの利益がプラスになるようにしましょう。

株主優待投資の落とし穴 まとめ
株主優待制度によって、より多くの個人の方が株投資を行えるようになってきました。しかし、株主優待変更や廃止リスクには十分注意しなければなりません。資産運用の基本ですが、
2. 分散投資を心がける
この2つに留意することで、万が一保有株の優待が変更や廃止になっても大損失を被ることは避けられるはずです。
手堅く、でも楽しく株主優待を狙いましょう。(執筆者:堀 聖人)