重要な経済指標と言われ何を思い浮かべますか。おそらく米国雇用統計と答える方が大半でしょう。
もちろん今後の金融政策を占う上で非常に重要な統計になりますし、今後も注視していかなければならない指標です。しかし、米国における雇用情勢が強いことは周知の事実。
非農業部門雇用者数は2014年夏頃から安定して20万人を超え、失業率も今年に入り4%台を記録。いまや、米国雇用統計は既知の情勢を確認するための指標。
つまり、以前程重要性を持たなくなってきているのです。今後は様々な統計を組み合わせて、外部要因や世界の経済動向を読み解く必要があります。
では、具体的にはどのような統計に注目すればいいのでしょうか。

目次
1. 消費者信頼感指数
米国個人消費の動向を読み解く上で非常に重要な指標です。米国ではGDPの約7割を個人消費が占めます。この動向を読まずして世界経済は語れません。
消費者信頼感指数には、民間調査機関のCB(コンファレンスボード)が発表する分とミシガン大学が発表する分があります。
CB発表分が5,000世帯を対象にしているのに対し、ミシガン大学発表分は速報値、確報値それぞれ300世帯、500世帯。よって、CB発表の消費者信頼感指数の方がより信頼性が高いと言えます。
CB発表分は現在と6か月先の景況感、雇用状況、所得、自動車、住宅・高額家電等の購入予定の5項目を各世帯にアンケート調査し、指数化。毎月最終火曜日に発表します。
ミシガン大学発表分に関しては、高額商品の購入予定についてのアンケートがありません。その分、毎月第2または第3金曜日に発表されるため速報性が高いことが特徴です。
同指標が好調時には生活必需品関連株に注目です。例えば、ウォルマート(WMT)やコストコ(COST)。最近だとオーガニックフードを扱う小売店、ホールフーズ(WFM)あたりもおすすめです。
生活必需品関連の買いが一服すると、高級品や贅沢品の関連銘柄が物色される傾向があります。ティファニー(TIF)やマイケルコース(KORS)あたりは要注目でしょう。
2. バルチック海運指数

現状の相場は国内動向のみならず、外部要因にも注視しなければなりません。資源価格の動向を読み解く上で重要になる指数がバルチック海運指数です。
同指数は、鉄鉱石や石炭等の資源を運ぶ「ばら積み船」の船賃を指数化したものです。指数上昇時はばら積み船の需給が逼迫していることを意味します。
即ち、資源の消費需要が旺盛でばら積み船の供給が追いつかない状況です。新興国に投資妙味が出てくるシグナルと考えることが出来ます。
また、ダイレクトに恩恵を受けたい場合には資源輸送に強みを持つ商船三井(9104)、川崎汽船(9107)に注目です。同じ海運業でも日本郵船(9101)についてはコンテナ船に強みを持つ企業です。
ばら積み船に強みを持たない点、投資の際には注意が必要です。
3. ラッセル2000指数
中小型株の株価を表す指標です。
中小型株は大型株に比べて安定性で劣りますから、リスク選好局面でなければ同指数は上昇しません。つまり、同指数の上昇はリスクオン入りのシグナルと言えるのです。
景気後退局面に、値動きの荒い小型株は仕込みませんよね。同指数の推移から投資家のセンチメントを読み解くことができます。
指数構成銘柄の平均時価総額は約4億ドルですから、中小型株の動向を計るには十分なサイズ感と言えるでしょう。相場がリスクオンへ向かうと言うことは、国内でもマザーズ指数構成銘柄への物色が強まることが想定されます。
以上のように、消費者の動向、資源価格等の外部要因、投資家のセンチメント等様々な角度から市況把握することで投資の確実性は上がります。参考にしてみてください。(執筆者:徳田 陽太)