少子化が社会的な問題になってから、すでに40年近く経過しています。でも、実際それで私たちの生活、特に経済にどんな影響が出るのかをはきり理解しているでしょうか。ここで、大まかな影響についてまとめていきます。

目次
経済が悪化する仕組みは実にシンプルです。
影響1. 将来の労働人口
まず、少子化で減るのは、将来の労働人口です。
すると国の税収入が減り、その分一人当たりの課税額が増えていきます。課税額が増えれば、所得から税金を差し引き自分の好きなことに使えるお金、つまり可処分所得が減ります。
影響2. 可処分所得が減り質素な生活をしようとする
可処分所得が減ると、レジャーをしたり車や家、外食などを諦めて、人は質素な生活をしようとします。
影響3. 物が売れずメーカーや小売店の収益が減る
質素な生活をすれば、物は売れなくてメーカーや小売店の収益が減ります。収益が減ればそのメーカーや小売店で働く人の給料が減ります。給料が減れば、家計はさらに出費を抑えます。
影響4. 子供関連のビジネスも縮小
また子供が少ないということは、子供関連のビジネスも縮小します。例えば子供服や玩具が売れなくなります。ここでもメーカーの給料が減って、家計は出費を抑えてしまいます。
経済は成長するどころか、後退する方向に向かうのです。このように経済はこんなシンプルな仕組みで、どんどんと縮小してしまうのです。
「老後を謳歌」など夢のまた夢
影響5. 年金の問題

国レベルの経済を見れば、年金の問題も出てきます。
年金というのは若い世代が、高齢者の生活を支えるシステムです。つまり、少子化で若い世代がどんどんと減っていき、一人当たりの負担が増えていくと、年金を納付する額が増えていきます。これもまた可処分所得が減ることに繋がります。
年金の納付額が減れば、年金の支給額が減ります。高齢者は、年金で生活する方も少なくありません。家賃や光熱費を支払った後に手元にほとんど残らなければ、老後を謳歌するなんて夢のまた夢です。現実には、スーパーの特売品などを買って生活する高齢者も今日現在に存在します。
こうして日本の社会保障費は今や110兆円にも及び、2025年には150兆円ほどに膨れ上がる試算になっています(※財務省の推計による)。高齢者が消費をしないことは、やはり経済にはマイナスの影響があるのです。
唯一の解決策は子供を増やすことだが
少子化がもたらす経済への影響というのは、生産性が減り、かつ消費も減ることで各種市場や経済が縮小していくことです。バブル崩壊後、需要の減少から発生したデフレスパイラルよりもさらに悪い状況が、長期にわたって起こりつつあるのです。
この問題を解決するために、
というのが、今の政府や企業がやろうとしていることです。
しかし、日本の少子化対策も今のところ思いきった対策が講じられていることもなく、出生率は依然として低いままです。
もし仮に今年から出生率が2.0%を超えたとしても、その好影響が出始めるまでには、その子供たちが成人するまでの20年ほどという期間がかかることも忘れてはなりません。(執筆者:小野 雄吾)