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Fintechについての印象
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Fintechについて話をするとよく、
という声を聞きます。主に会計のクラウド化や決済サービスにおける革新的な技術によって、「今ある仕事がなくなってしまう」分野からの声が強いようです。
VHSビデオテープにDVDディスクが取って代わり、ブルーレイディスクが登場して主役が交代した「録画の世界」のように、新しい技術が使い手のメリットになるのはとても良いこと。そういう意味ではFintechが「破壊者」という表現は、ひとつ正しいもののように思えます。
前回の記事「今さら聞けないFintech 基本の「き」をおさえましょう。」はこちら
1. Fintechを破壊者にしない「API公開」というステップ
中国故事に温故知新(古いものを土台に新しいものを組み立てる)という言葉があるように、Fintechにもそれまでの技術やサービスを活用して新たなサービスを提供するという動きがあります。それが「APIの公開」という言葉です。
2. APIの公開とは?
APIはアプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)の略で、既に提供されているシステムやアプリケーションから利用するためのプログラムの規約のことを指します。
新たなサービスの提供者がイチからサービスを提供するとき、新たなプログラムを制作し、相手のプログラムとの関係性を構築し、という多大な手間がかかります。
ここでAPIを活用すると他のシステムの一部を利用でき、更に新たなサービスを「迅速に」提供することが可能になります。よくAPIが
と例えられるのはこのためです。
APIの提供元にしても、自分たちのシステムの一部を提供することで、革新的なアイデアや技術をもったFintech企業と「連携」し、自社のメリットとなることが期待されています。
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3. マネービジネスが注目する銀行API
「家計簿アプリ」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。たとえばMoneyForwardのように、個人資産を管理するサービスを指します。
これらのサービスは俗にPFMサービス(Personal Financial Management)といわれ、家計改善や節約を実現することのできるサービスとして注目されています。
この時にクレジットカードの利用履歴やポイント、仮想通貨であるビットコインの所有に至るまで、個人資産の全体像を一覧にすることができます。
「銀行APIの連携」という動きとは…
このなかで最も驚きをもって迎えられるのが、PFMサービスと銀行などの金融機関が結びつく「銀行APIの連携」という動きです。銀行に預けている資産残高などの口座情報をPFMサービス側で合わせて管理することが可能です。
金融機関にとっても銀行APIのメリットは大きく、他の銀行と差別化した顧客サービスの実現が可能となります。
セキュリティ技術の維持が発展の鍵
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もちろん、これら銀行APIの連携は厳格なセキュリティのもとで行われることが「前提」となります。そのためPFMサービス各社では、何よりもセキュリティ技術の維持に力を入れています。このセキュリティが担保されると、銀行APIは今後どのように発展していくのか、とても興味深い部分です。
資産管理を仕事とするFP(ファイナンシャルプランナー)のほか、新たな資産管理のサービスもPFMサービス側から、そして銀行側から誕生していくことでしょう。
Fintechが「破壊者」というイメージを超えて発展していく今後に注目したいですね。(執筆者:工藤 崇)